緋山「B級哲学仙境録」 地球は生命体? 偶然説・ガイア仮説とデイジーワールド



B級哲学仙境論


地球は生命体?


 




地球は生命体?




地球における生命の誕生



「偶然説」というのがあります


たとえ天体に水や空気、光などの条件がそろい

生命のもととなるアミノ酸などの材料が全てそろっていたとしても


生命を構成するタンパク質(アミノ酸が鎖のようにつながったもの)が

1つでも作り出される確率は、天文学的数字で低くほとんどゼロに近い


さらに原子生命に必要なタンパク質全てが作り出される確率は

途方もなく少ないことになる


単細胞の生物でも数千ものタンパク質をもっている

なので、地球での生命の誕生は、たった1度限りの偶然である



この説の根拠としては

タンパク質を構成するアミノ酸には、分子構造を手のひらに見立てると

水素原子を親指として、L型(左型)とD型(右型)の2種類があり


普通に化学的に合成すると必ずL型とD型が半分ずつできる


しかし地球上の生物は全てL型しかもたない


これはL型アミノ酸を材料に

原子生命体がありえない確率で発生した証拠である




この考えに対しては、L型とD型の割合が

様々な原子生命体が地球のあちこちで発生し進化したが


自然淘汰によって

L型生命体が残ったという反論もあるようですが・・・




また、多くの科学者が、地球での生命誕生は

宇宙から飛んできた隕石に含まれる

アミノ酸に由来するという説を唱えていますが


NASAに所属する宇宙生物学者が

南極やオーストラリアに落下した

地球より古い年齢(45億年以上前)の6つの隕石を調べたところ


アミノ酸は、D型よりもL型の方が圧倒的に多く含まれていたらしく

これが生命の起源を隕石に求める説の根拠になっているようです




生命体誕生がたった1度の偶然だったとすると


宇宙に地球のような星があるとしても

単純に生命が存在するという話にはならないということです


かつては天の川銀河だけでも

100万もの文明が築かれているはずだ

なんて言われていましたが


今ではこれよりはるかに少ないだろうと考えるのがふつうのようです





このようなことからも、創造神によって

人間、地球、さらには宇宙が、創造されたと信じる人も多いのです


人がヒトとして存在するには

「フェラーリの部品を天高く放り投げて

落ちてきたら、偶然フェラーリが完成し、現れなければならない」

と言う人もいます


それほどヒトというものは、精妙に作られているということです



「ある作品」が完成するとは、作者が「あるものを作ろう!」

と目的を持つことからはじます


目的があって、初めて

構想から材料の調達から段取りまでが可能となり作品が完成しうる


同様に、世界も、神が目的を持って創造した と信じるわけです








地球という奇跡の星



地球が、奇跡の星とされるのは

海=水 があるからですね


地球より太陽に近い惑星では、水はすべて水蒸気となり

地球よりも太陽より遠い、惑星表面は氷結しています


金星の表面温度は200℃

火星はマイナス50℃だといいます




また、太陽からの距離が地球と同じである月は

水もないし、大気もありません


これは、月が地球よりもサイズが小さく

重力が地球1/6しかないため

水分子を引力によってとどめておくことが

できないからだそうです




また、地球が太陽の周りを回っていられるのは

太陽の重力(引力)に引かれているからであり

太陽の引力がなければ、どこかに飛んでいってしまうそうです



地球が、回転しているということは

その回転速度に見合った

向心力(中心向きに働く力)と

遠心力(向心力と真逆の向きに働く力)

が水にかかります



地球が水を引く力(引力+向心力)が

水に引き離す力(遠心力)より

大きいので、地球に水が存在しうるのだそうです







地球は生命体?

ガイア仮説・デイジーワールド


地球を「巨大な生命体」と考える

「ガイア理論」(ガイア仮説)というのがあります


ガイアは、ギリシア神話の大地母神です



この理論は、イギリスの科学者、大気学者の

ジェームズ・ラブロックが1960年代に提唱した仮説です



「生態学」においては

自然(地球)は、無数の生き物が影響し合い

全体として調和と秩序が保たれ、成り立っていると考えますが


この「ガイア理論」では、生物ばかりでなく

大気や塩分をはじめとする「無機物」(無生物)をも含めて

地球を1つの生命体、統一体と考えるところに特徴があります



つまり、地球上の無数の生物が

自分たちの住環境を好ましい状態にするよう

「共進化」してきた結果


大気圏、水圏、地圏などの無生物システムをも

包含する地球生命体と呼べるものになったという説です



ラブロックは、地球の大気の特異性に着目し

この結論に至ったといいいます



ガイア理論は、当初「自然の合目的論」

〔自然に一定の目的があることを説いた理論〕の1つだ

と考えられていたそうです



「自然の合目的論」に対しては、

自然に一定の目的性、方向性を見るのは

自分の「生」に重ねて自然を見ているからで

客観にもとづかない、主観的な判断である

との批判があります




「ガイア理論は合目的論だ」といった批判に対し

ラブロックは「デイジーワールド」という仮説を用いて反論します



デイジーワールドは

太陽(徐々に温度が上昇)の周りを回る惑星で


この惑星には、白いデイジーと黒いデイジーのみ生息し

それ以外の生物は存在しない


白いデイジーは光を反射し、黒いデイジーは光を吸収する


〔 デイジーは、ヨーロッパ原産のキク科の多年草。ヒナギク 〕



太陽の熱が低い頃のデイジーワールドでは

寒さのため、白いデイジーはほとんど存在せず

黒いデイジーも少ない


太陽の温度が上昇するに従い黒のデイジーが繁殖していき

太陽熱を蓄積していく


このためデイジーワールドの気温も上昇する

すると、白いデイジーも繁殖できるようになり

ある時点で両者は均衡に達する



そうなると、惑星(デイジーワールド)の温度が上がると

白いデイジーが増えていき温度を下げる働きをし


それにより温度が下がると

黒いデイジーが増えていき温度を上げる働きをする



両者の働きによって、太陽の温度がある範囲で変化しても

恒常性(ホメオスタシス)が保持される



太陽の温度が高くなりすぎると

どちらのデイジーも繁殖できなくなり、デイジーワールドは死の惑星と化す


また、デイジーが、惑星に存在しなかった場合

この惑星の気温は太陽の温度上昇に応じて上がっていくだけである



これによって、ラブロックは

神の計画などといった合目的性なしのまま

自然の恒常性を説明できることを証明したのです




生命の起源から多細胞生物の誕生まで





 自己紹介
運営者情報




 時間論




 幸福論




 価値論




 心と
存在




言葉と
世界




食べて
食べられ
ガラガラ
ポン





Suiseki
山水石美術館