緋山酔恭「B級哲学仙境録」 ミトコンドリアイブ ② ミトコンドリアとは?



B級哲学仙境論


ミトコンドリアイブ


 




ミトコンドリアイブ ②




ミトコンドリアとは?



車は、ガソリンという燃料を燃やして

運動エネルギーに変換することで、走ることを可能にしています



ヒトは、食べ物どを食べることで

エネルギーを生み出しています


エネルギーを生み出す燃料として使われるのは

糖質(炭水化物)、タンパク質、脂肪で

これらは三大栄養素(三大熱量素)と呼ばれています



三大栄養素は、糖質はグルコース(ブドウ糖)

タンパク質はアミノ酸、脂肪は脂肪酸にというように

より低分子の化合物に分解され


小腸より吸収され、血液中に取り込まれ

血液によって個々の細胞の近くまで運ばれます



運ばれた栄養素は

細胞と細胞の間にある組織液(組織間液)から

酸素とともに、細胞へと取り込まれ


ガソリンが燃焼することで、熱エネルギーを生み出すように

栄養素と酸素とが反応することで、エネルギーが産生されます



おうざっぱにいうと

我々の活動エネルギーは、こうして生み出されているのですが

ここに、ミトコンドリアが関わっています




なお、こうして得たエネルギーのうち

およそ20%が

筋肉の収縮に使われ、運動=仕事 をし


残りは熱となり、体温の維持に使われている

とされます



熱エネルギーは

体内の化学反応の速度を正常にするために

使われているといいいます




運動すると、身体が熱くなります


これは、体を激しく動かして運動すると

仕事も増えますが


仕事に変換されない熱も増えて

体温が上昇するためだそうです






ミトコンドリアは

細胞の中で、エネルギー物質を作り出しています


よく細胞内の発電所にたとえられます


ATP(アデノシン三リン酸)という

エネルギー物質を合成しています



我々は、ミトコンドリアが作り出したそのATPを利用して

体温を保ち、知覚し、運動をし、成長し

増殖して生きているというわけです




ATPは、栄養素と同様、炭素やリン酸などの集合体で

栄養素と同じく内部にエネルギーを保有します


ATPは細胞がすぐに利用できるエネルギー源で

車でいえばガソリンに相当します




ミトコンドリアは、栄養素を細胞の外から取り入れ、分解し

二酸化炭素と水という分解産物にして細胞質へと排出します



一方、細胞質に存在する

アデノシン二リン酸(ADP)とリン酸を

体内(ミトコンドリアの体内)に取り入れ


この2つ(ADPとリン酸)から

栄養素が分解されたときに放出されるエネルギーを使って

ATPを合成し、体内から細胞質に送り出しています



栄養素を分解し、取り出した水素と

呼吸によって取り入れられた酸素とを反応させ

エネルギーを発生させる


このエネルギーを使い

ATP(アデノシン三リン酸)という

エネルギー物質を、ADPとリン酸から合成しているといいます



つまりATPを合成するために必要な原子は

栄養素からは来なていません


移行するのはエネルギーだけです




ちなみに、ATPを生産される過程で作り出された水は

「代謝水」と呼ばれ、身体の水分保持において

重要な役割を果たしているといいます






こうして、ミトコンドリアによって生産された

アデノシン三リン酸(ATP)は

アデノシンという物質に

3つのリン酸基(P)が結合していたものですが


ATP分解酵素によって、ATPが加水分解されると

ひとつのリン酸基(P)がはずれて、アデノシン二リン酸(ADP)になり

その際に、エネルギーを放出します


ATP+H2O → ADP+H3PO4(リン酸)+7.3kcal


このエネルギーを使って、筋の収縮が行われているのです





つまり、ミトコンドリアにより

ADPとリン酸から、ATPがつくられる


細胞質では、ATP分解酵素によって

水の介入のもと

ATPが、ADPとリン酸と分解され

筋肉を動かすエネルギーが生産される


再び、ミトコンドリアで・・・・


この繰り返しが「エネルギー産生機構」ということです



分解されたADPは、呼吸によって

再びATPに再合成が可能であり



ブドウ糖などの栄養素は

ミトコンドリアで、ADPとリン酸から

ATPがつくられるときのエネルギー源として利用されている

ということになります



細胞内でのエネルギーのやりとりに

仲立ちとしてATPが用いられることから

ATPは「生体のエネルギーの通貨」と呼ばれています





生物は細胞にATPを貯蔵しますが

大量のATPを貯めておくことはできないので


必要に応じて、ミトコンドリアは

水素と酸素をすみやかに反応させたり


ゆっくり反応させたりして

呼吸の速度を調節しているといいます


運動をすると呼吸や心拍が激しくなるのはこのためだそうです




筋繊維の中に蓄えられておけるるATPの量はわずかなので

激しい運動では短時間で使い果たしてしまいます


運動を続けるには

ADPからATPを再合成して、ATPを供給し続けなければなりません


この仕組みが、エネルギー産生機構なわけです


体内で生産されるATPのうちの約95%は

ミトコンドリアによって生産されているそうです







ミトコンドリアは

ほとんど全ての真核生物の細胞に存在する細胞小器官です


一個の細胞にミトコンドリアは数100個含まれていて

ミトコンドリア1個に。ミトコンドリアDNAが5、6個あるため

ミトコンドリアDNAは、細胞当たりで千個以上存在するらしいです

(ヒトは60兆個の細胞で作られている)


【 真核生物… DNAが核膜に覆われている生物

アメーバやゾウリムシなどの原生動物、酵母菌やカビなどの菌類

クロレラなどの単細胞藻類から

高等な動物・植物に至るまで全てが真核生物 】



ミトコンドリアDNAは

核のDNAが線状の二重らせん構造をしているのとは違い

環状の二重らせん構造をしているといいます


ミトコンドリアは一部のタンパク質を自前で合成し

細胞内で細菌のごとく振る舞っているそうです






ミトコンドリアや葉緑体といった

独自のDNAをもつ細胞小器官は


もともと独立した生命体=

原核生物(DNAが核膜につつまれていない生物。細菌と藍藻)

だったそうです



この原始生命体が、別の細胞に

侵入し、または捕食され、共生関係を結んだ結果、細胞小器官なり

真核生物の細胞が誕生したという説があります


「共生説」「細胞共生進化説」と呼ばれます




ミトコンドリアは、もともと酸素を好む好気性の細菌だったとされ

葉緑体は、光合成を行う能力をもつ藍藻類だったとされます



共生関係は、ミトコンドリアの場合だと、ミトコンドリアは糖を得て

細胞はミトコンドリアの生産する

ATP(エネルギー物質)を得るということになります






ミトコンドリアの祖先の

細菌(αプロテオ細菌と呼ばれている)は


酸素を利用することで

酸素を使わない場合に比べて

20倍近い効率でエネルギーを作り出すことが出来たといいます


このαプロテオ細菌を

酸素を使うことの出来ない真核細胞生物が

取り込み、共生をはじめ

やがて、αプロテオ細菌が、ミトコンドリアになったらしいです







人間は、細胞呼吸(内呼吸)という

エネルギー代謝しかできないのに対し

酵母や細菌といった微生物は

「発酵」というエネルギー代謝ももちます



「細胞呼吸」(内呼吸)とは

生物が、外界から酸素を取り入れて

二酸化炭素を排出する

「外呼吸」(肺呼吸・えら呼吸・皮膚呼吸など)に対し



細胞が外部から取り入れた酸素

(人間なら肺呼吸よる)

を用いて

栄養素を分解して

エネルギーを発生させる現象です


真核生物で細胞呼吸をつかさどるがミトコンドリアです





発酵は、酵母菌(イースト菌)、乳酸菌、酢酸菌などの微生物が

嫌気(酸素のない)条件下で、糖などの有機化合物を分解し

エネルギーおよび、アルコール、有機酸、二酸化炭素

などを生成する過程です



但し発酵(嫌気呼吸)は効率が悪く

好気呼吸に比べると生産するエネルギーの量は格段に差があります




例えば、酵母の場合

好気呼吸は、酵母のミトコンドリア内で行われ

グルコース1分子が完全に燃焼すると

ATPが38分子も生成されます


ATP(アデノシン三リン酸)とはエネルギー物質です



これに対し酵母のアルコール発酵は

グルコース1分子から

エチルアルコール(2分子)+二酸化炭素(2分子)+ATP(2分子)です


だから、酵母は嫌気的条件の方が

好気的条件よりグルコースを多量に消費することになるわけです





生物が、エネルギーを得るための代謝には

大別して発酵、内呼吸、光合成の3種があります



光合成とは、緑色植物が、光エネルギーを用いて

二酸化炭素と水から、デンプンなどの炭水化物を合成し

酸素を放出することです



植物は日光が当たると、二酸化炭素を取り込んで

葉緑体の中でデンプンを作り、それを使って生きています



太陽の光エネルギーを借りて

空気中の二酸化炭素と、根から吸収した水を使って

自ら養分を作ってこれを食べて生きている=独立栄養


この働きを光合成といいます




なお、植物の光合成は、じつは二段階になっていて

最初の段階(明反応)は、光のエネルギーを利用し

水を酸化して酸素にすると共に

暗反応に必要なニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)と

ATPをつくりだす反応です


二酸化炭素から有機物を作ろうとすると

還元剤が必要であることになりますが

還元剤の役割を果たすのは、NADPHだそうです


次の段階(明反応)は、NADPHとATPを利用して

二酸化炭素から種々の糖がつくる反応です





もちろん、植物も呼吸をします


光合成は光が当たっていないと行われませんが

呼吸は光の有無に関係なく、日中も夜も行われているそうです


植物の呼吸は、気孔から酸素を取り入れ

二酸化炭素を放出します


晴れた日の日中は、光合成のほうがはるかに盛んなので

呼吸はほとんど目立たないといいます







それから、葉緑体の場合

シアノバクテリア(藍藻)が

植物細胞と共生関係を結んだ結果、葉緑体になったとされます




●  シアノバクテリア


藍藻ともいう

光合成を行う細菌の一群


単細胞で浮遊するもの、少数細胞の集団を作るもの

糸状に細胞が並んだ構造を持つものなどがある



転 写





しかし、共生関係って成立しているのでしょうか?


ミトコンドリアの場合だと、ミトコンドリアは糖を得て

細胞はミトコンドリアの生産する

ATP(エネルギー物質)を得るということになりますが


葉緑体の場合、細胞に糖を与えて、なにを得ているでしょうか?




共生説に関しては

ネットで探せばいっぱい出てきます


ところがどこにも

葉緑体がなにを得て、共生関係が成立しているのか?

という肝心なところにふれているものがみあたりません




ミトコンドリアイブ ①




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