緋山「B級哲学仙境録」 量子力学は「真」か「偽」か? ② 超対称性理論



B級哲学仙境論


量子力学とは?


 




量子力学は

「真」か「偽」か? ②




超対称性理論



大統一理論には

ヒッグス粒子(質量の粒子)がなくてはならないそうです



ただ大統一理論においては

ヒッグス粒子の質量に問題が出てきます



標準理論では、ヒッグス粒子の質量は

100GeV (陽子の100倍)だそうですが


大統一理論では

10の16乗GeVとなってしまいとても説明がつかないそうです



そこで考え出されたのが「超対称性理論」です



これにより、ヒッグス粒子は

超対称性粒子との関係から

質量が小さくなっていると説明できるといいます



ここに超対称性粒子の考えを取り込んだ

「超対称性大統一理論」なんてすごい名前の理論ができたのです





「電弱統一理論」が正しいとすると

光子の質量は0なのだから

W粒子とZ粒子の質量が0であるはずなのに


実験の結果、W粒子・Z粒子は

大変重い粒子であることが分かります



そこで予言されたのが「ヒッグス粒子」でした


その後、全ての素粒子に質量を与えているのが

ヒッグズ粒子であると考えられるようになったそうです




ただ、ヒッ グズ粒子を単純な素粒子と考えると

その質量の大きさに問題が生じるらしいのです



そこで今度はそれを解決するために

「超対称性理論」や

「複合粒子模型」〔ヒッ グズ粒子などが、単純な素粒子ではなく

いくつかの素粒子が集合してできたものとする考え〕

が、提唱されたわけです



どちらも、実験的に実証しようという努力が多くなされていますが

現在のところ、証拠が得られていないといいます





超対称性理論とはどのようなものでしょうか?


素粒子と呼ばれる粒子は、スピンと呼ばれる自転運動をしています

そして、あらゆる粒子は、2つのグループに分けられるとされます



宇宙の物質を作っているスピン1/2「フェルミ粒子」と

粒子間の力を生み出すスピン0、1、2の「ボーズ粒子」です



クォーク、レプトン〔電子・ミュー粒子・タウ粒子、3種のニュートリノ〕

陽子、中性子が「フェルミ粒子」にあたります


光子、重力子、グルーオン、ウィークボゾン

中間子が「ボーズ粒子」にあたります



素粒子に質量を与えるヒッグス粒子も

スピン0のボーズ粒子だと考えられています



なお、陽子と中性子はともにスピン1/2のフェルミ粒子です


これ対して、中間子も、陽子、中性子と同じく

クォークよりできていますが

(一つクォークと一つの反クォークから構成)


中間子はボーズ粒子で

スピン0のものとスピン1のものがあります




この他、結晶中での原子の熱振動によって生まれる

「波」の粒子とされるフォノン(音子・音響量子・音量子)


電子のスピンによって生まれる「波」の粒子とされる

マグノンなどの「準粒子」(波なので)


超伝導に関与するクーパー対も

ボーズ粒子の1種と考えられています




【 特定の金属や化合物などを超低温に冷却したときに

電気抵抗が急激にゼロになる現象が「超電導」です


物質が超伝導状態になるということは

水が氷になるように、まったく新しい相へ移行するということです


金属は温度が下がると電気伝導性が上がり

逆に温度が上がると自由電子がより散乱するので

電気伝導性が下がります



この性質から、絶対零度に近づくと

金属の電気抵抗はゼロになることが昔から予想されていました



超伝導となる温度は金属によって異なり

例えば、アルミニウムは1.2K(ケルビン)です



マイナスの電荷をもつ電子同士は

斥力(反発し合う力)を及ぼし合っていますが


超伝導状態を実現させるには

逆に引き合う必要があるといいます



電子がペアとなり、ボーズ粒子となって

最低のエネルギー状態に凝縮する必要があるそうです



ある理論では、電子同士がフォノンを交換

或いはフォノンを介して運動量を交換することによって

電子同士に引力が働くと考えます


この引力によって生じる

電子対〔スピンは互いに逆向きで、かつ運動量がゼロ〕を

「クーパー対」(クーパーペア)といいます 】





粒子は、スピンという性質を持つとされます


スピンというと、軸があり、その軸を中心に

コマのように自転していると想像してしまいますが


量子力学では粒子は軸を持っていないと考えます



違った方向からどのように見えるかで

1/2のスピンを持つ粒子とか

0のスピンを持つ粒子とか言われています



スピン0の粒子のスピンの形は

点に似ていて、どの方向から見ても同じに見える



1の粒子のスピンの形は、矢印に似ていて

360度回転(1回転)させたときにだけ同じに見える



2の粒子のスピンの形は、

上下や左右の矢印を2つくっつけた形をしていて

180度回転(半回転)させると同じに見える



1/2の粒子のスピンの形は

2回転させないと同じに見えない とされています





「超対称性理論」とは、物質を構成するフェルミ粒子

力を伝えるボース粒子それぞれに


対応する「超対称性粒子」〔超対称性パートナー

スピンが1/2ずれただけで、電荷などは等しい素粒子〕

が存在するという考えです



すでに知られているフェルミ粒子に対して

未知のボソン粒子が存在し


すでに知られているボソン粒子に対して

未知のフェルミ粒子が存在するというものです




全てのフェルミ粒子(スピン1/2)には

スピン0の超対称性パートナーのボーズ粒子が存在する



光子・ウィークボゾン・グルーオンといったボーズ粒子は

スピン1(2/2)とされ

その超対称性パートナーに、スピンが1/2のフェルミ粒子が存在する



ヒッグス粒子は、スピン0のボーズ粒子で

スピン1/2のフェルミ粒子のパートナーが存在する



重力子は、スピン2(4/2)のボーズ粒子で

スピン3/2のフェルミ粒子のパートナーが存在する とされます





ちなみに、電子のようなスピン1/2の素粒子には

-1/2(ダウン)と+1/2(アップ)の2つの状態があり


光子のようなスピン1の素粒子なら-1、0、+1の状態があり


スピン3/2の素粒子が実在するなら

-3/2、-1/2、+1/2、+3/2の状態があるといいます





超対称性理論が正しいとすれば

素粒子の数が倍増しとなり

ダークマターの存在なんかが現実化してくるのでしょうけれど

現在のところ、超対称粒子は、ひとつも発見できていないといいます




具体的にどんなのものがあるのか?


フェルミ粒子の超対称性粒子である「スフェルミオン」と

ボーズ粒子の超対称性粒子である「ボジーノ」に大別されます



スフェルミオンには

クォークのパートナーである「スクォーク」

レプトンのパートナーである「スレプトン」が予言されています



スレプトンには、電子(エレクトロン)のパートナー「セレクトロン」

ミュー粒子(ミューオン)の「スミューオン」

タウ粒子(タウロン)の「スタウ」  ニュートリノの「スニュートリノ」



ボジーノには、光子(フォトン)のパートナー「フォティーノ」

Wボゾンの「ウィーノ」  Zボゾンの「ジーノ」


グルーオンの「グルイーノ」

重力子(グラビトン)の「グラビティーノ」



正・負の電荷を持つヒッグス粒子には、2種類の「荷電ヒグシーノ」

(ヒッグス粒子は、電荷をもたないとされる)


電荷を持たないヒッグス粒子には「中性ヒグシーノ」が予言されています




また、電荷を持たないボーズ粒子の

超対称性粒子の混合状態を「ニュートラリーノ」いいます


ニュートラリーノは、ダークマターの候補に挙げられています


〔 Zボゾンのパートナーであるジィーノ

光子のパートナーであるフォティーノ

中性のヒッグス粒子のパートナーである中性ヒグシーノの混合状態 〕



これに対し、電荷を持つボーズ粒子の

超対称性粒子の混合状態を「チャージーノ」といいます


〔 正のWボゾンと負のWボゾンのパートナーである

正・負の電荷を持つ2種類のウィーノと

2種類の荷電ヒグシーノの混合状態 〕




なんだか、都合を積み重ねていく

ツギハギ理論のようにに思えてしまうのは、私だけでしょうか?







大統一時代・電弱時代



大統一論によると

4つの力はビックバン直後には一つに統一されていて


最初に重力が分離し、次に原子核を固めている強い力が分離し

最後に電磁力と弱い力が分離したと考えます





ちなみに、 宇宙の創成について

調べてみると、2つの考え方があるようです



1つは

無から始まり (無という宇宙の誕生を0としている) ➝

インフレーション ➝

ビッグバン ➝ 宇宙の晴れ上がり




●  インフレーション


ビッグバンが起こる前に

原子より小さい点が「インフレーション」という

火の玉のようになる現象があったという


宇宙の始まりから同じペースで膨張していたとすれば

宇宙はもっと場所による違いが大きいはずだとか


ビッグバン理論だけでは、恒星や銀河が生成され

しかも膨張をつづけていくための質量の値が得られない

とかいった問題点を解決するために語られるようになった

いわばご都合主義の産物 ≫





●  宇宙の晴れ上がり


ビッグバン理論の用語


宇宙が誕生した直後は

高温高圧で、プラズマが光の直進を妨げていた

このため不透明な世界であった


ビッグバンからおよそ38万年後

宇宙が膨張することによって温度が3000度まで下がると

バラバラだった電子と原子核が一斉に結合して中性化し

光が直進できるようになり、突如 世界は透明になった


これが宇宙の「晴れ上がり」です


この時に放たれた光が

宇宙背景放射(ビッグバンのときの光)とされています



 転 写






もう一つは

ビッグバンから始まり (ビッグバンを0としている) ➝

プランク時代 ➝

大統一時代 ➝ インフレーション時代 ➝ 電弱時代  です




なお、2つの話は、別モノであるにも関わらず


なぜか、インフレーションはどちらも

10^-36から始まるとされ


終わりも、10^-34秒後とか

10^-34秒後とか、10^32秒とかいうことで、ほぼ一緒です




前者は、ビッグバンが起こる前に

原子より小さい点が「インフレーション」という

火の玉のようになる現象があったという話で

≪インフレーション理論≫と呼ばれるものです






後者は、大統一理論による宇宙創成論です


大統一論によると

4つの力はビックバン直後には一つに統一されていて


最初に重力が分離し、次に原子核を固めている強い力が分離し

最後に電磁力と弱い力が分離したと考えます




ビッグバンを、宇宙の始まりとし


ビックバンのあと0秒から

約10^-44秒(プランク時間)の間を

「プランク時代」と呼びます


〔 プランク時間とは、光が光速で

空間の最小単位、距離の最小単位とされる

「プランク長」を進むまでにかかる時間 〕



極めて高温高圧の世界で、この時代の終わりに

相転移(水が氷になるように、まったく新しい相へ移行する)が起り

重力が他の力から分れたとされます




このあとの時代が「大統一時代」です


大統一エネルギーが1015GeVであるとすれば

この温度は10^27K以上に相当し


3つの力(電磁力、強い相互作用、弱い相互作用)が

統一されていたといいます



【 GeV (ギガエレクトロンボルト・

ギガ電子ボルト)は、eVの10億倍

V(ボルト)が、電圧の単位であるのに対し

eV(電子ボルト)は、エネルギーの単位 】




この時代は、ビッグバンの約10^-36秒後

(10^-38秒後とも)に終わり


このとき、大統一理論の相転移が起り


強い相互作用(強い力)と

電弱相互作用(電磁気力と弱い力が統合されたもの)

が分れたとされます




このあと宇宙が急激に膨張する

「インフレーション時代」(10^-36から10^-32秒後)があり



つぎの「電弱時代」の終わりに

ワインバーグ・サラム理論(電弱統一理論)

の相転移が起り


ビッグバンの約10^-11秒後(10^-12秒後とも)に

電磁相互作用と弱い相互作用が分離したとされます




そして、ここまでの過程で

物質と反物質のつりあいに小さなズレが生じ


ほんのわずか物質の方が反物質より多くなったことで

現在の宇宙が、物質の世界として存在している

という話になっています







モノポール



なお、いくつかの理論は

大統一時代に

磁気単極子(磁気モノポール)が生成されるとしています



電気と磁気は、かつては別の現象として認識されていましたが

今では、電流と磁界は切っても切れない関係にあり

電流が流れると必ずまわりに磁界が生じ

磁界が変化すると電流が流れることが分かっています


このため電気の力と磁気の力は

本質的に一緒の力とみなし電磁気力といいます




但し、電気と磁気には大きな違いがあり

電気は+だけの電気、-だけの電気が単独で存在するのに対し

磁石は、N極とS極が、常に一緒になっています


N極だけ、あるいはS極だけの磁石は、存在しません


棒磁石を2つに割ると、二つの磁石ができますが

それぞれの磁石が、N極とS極を持つ事になります



N極だけ、S極だけを取り出すことはできないわけですが

クォークの閉じ込めと関係しているという説もあります





モノポールというのは

磁石のN極あるいはS極だけに相当する素粒子で

これは現在までに発見されていません



インフレーションの膨張によって

吹き飛ばされて、我々の近くからは

観測できなくなってしまったらしく


スーパーカミオカンデなどで

磁気単極子を観測する試みが続けられているようです







自発的対称性の破れと反物質



2008年に、シカゴ大学の南部陽一郎名誉教授(1921~2015)が

他の二人とともにノーベル物理学賞を共同受賞しています


南部氏は「自発的対称性の破(やぶ)れ」を

小林、益川の両氏は、素粒子のクォークが少なくとも6種類あることを

予言したことが受賞理由とされています


〔クォークは当時、4種類と考えられていて

アップ・ダウン・ストレンジの3種は発見されていたが

4個目のチャームは未確認であった〕




南部氏の「自発的対称性の破れ」とは

これによって「質量」が現れてくることを示唆しているとされます




質量とは、一般的には、重さ(重量)と同じと認識されていますが

本来、全く別の単位です



重量は重力によって変化します


このため、体重(重量)60kgの人が

月へ行くと、月の重力は、地球の1/6なので

体重も1/6の10kgになります


これに対して、質量は地球上でも月面でも宇宙空間でも

変わらない60kgのままなのです




ではなんなのか?

質量は、物体の動きにくさの度合いとされています



たとえ無重力の空間で重量が0㎏になっても

質量の大きいものほど動かすのに

大きな力が必要となるということです





アインシュタインが

特殊相対性理論の帰結として発表した

E = mc^2

〔エネルギー(E)=質量(m)×光の速度(C)の2乗〕

という公式により


エネルギーさえあれば

無から有を作り出すことが可能となったわけですが



実験では、エネルギーからは

必ず物質(粒子)と反物質(反粒子)が対になってでくるそうです



なので、できたそばから両者が出会って

エネルギーに逆戻りしてしまうそうです



粒子と反粒子が衝突すると、対消滅を起こし

すべての質量がエネルギーに変換されてしまう


大爆発を起こし光(ガンマ線)を放って、どちらも消えてしまうそうです




核分裂で質量がエネルギーになる割合は0.1%なのに対し

対消滅では100%がエネルギーになるといいます



なので、銃弾くらいの大きさの物質と反物質が

対消滅した場合、東京から名古屋ほどの

直径のクレーターができると考えられています




かつて究極の兵器として

重量あたり水爆の100倍以上のエネルギーを持つ

「反陽子爆弾」が語られたことがあったそうですが

製造には多量の反陽子の製造と貯蔵が必要で

当面、実現の可能性はないとされています




仮に自分の反物質の「反自分」に出会って

その喜びで互いに握手なんてしたら

大爆発をして2人どころかこの世界が消滅してしまうということです


自分の反物質ってなに? 姿は一緒で性格だけが真逆?(笑)






話をもどすと

問題なのは、対生成と対消滅を繰り返すばかりでは

質量(物質)は生まれない

だから現在のような宇宙には成り得ないということです



粒子と反粒子、あるいは粒子によって構成される物質と

反粒子によって構成される反物質は

両方とも存在するか、両方とも存在しないかしかあり得ない


宇宙の最初は、粒子と反粒子が同じ数あったといいます



すると現在の宇宙に反物質がないなら

物質もないはずだろってことになります


なのに物質の方だけが残っている

反物質は自然界に存在しない 謎です?




宇宙は、ビッグバン直前

とてつもない大きなエネルギーによって加熱され

超高温・超高密度の火の玉となった


ビッグバンの始まりとされるその中で

光子やクォークや電子といった大量の

素粒子(粒子と反粒子)が生まれたといいます




それが何らかの理由で

粒子が反粒子よりも10億個に1個ほど多かったため


宇宙のごく初期に反粒子はすべて消滅し

わずかに残った粒子が

現在の宇宙の物質のもととなったとされているのです




なお、反粒子が自然界に存在しないというのは

安定した状態で大量に存在していないということのようです



また、反物質が存在しないというのは

反粒子からなる原子やその集合体が自然界で確認されていない

ということのようです





反物質は作ることができるの?


加速器というのは

自然界に存在しない反粒子を作り出すこと

なんかも目的としていて

そうしたことによって、宇宙のことを解き明かそうというものです




● 加速器


電圧をかけることで、電極間に電位の差を生じさせ

電子や陽子などの電気を持った素粒子を

光の速度近くまで加速して

固定標的に当てたり、加速した粒子同士を衝突させる実験装置


スイスのジュネーブ郊外にある欧州合同原子核研究機関の

LHCという加速器が最大で

地下約100mに円周27キロに渡って掘られた

円形のトンネルの中に建設。2008年に稼働


それまでは、アメリカのフェルミ国立加速器研究所の

テバトロン(直径約2キロ・円周6.3キロ)が最大であった






反粒子は実験的にはたくさん生まれているそうです


そして人類は反物質を作ることにも成功しているといいます


ただ、貯蔵がうまくいかない

生まれてもあっというまに

実験装置の壁などに接触して消滅してしまうらしいのです



また、反物質を作るには、壁にぶつかる前に

2個の反粒子をくっつけてやらないといけないそうなのですが


これは銃撃戦の現場で飛び交う弾丸同士を糊で

くっつけるようなことだ

と譬えられるくらい奇跡的なことのようです



それでも人間は、反水素原子や

反陽子と反中性子をくっつけた反重水素原子核

というものを作ることに成功したそうです


ただ、これらは数えられるくらいの個数しかできていないし

測定器で生成が確認されたときには

すでに消滅しているといいます





さて、宇宙が誕生してから1/100秒後ころには

大量の光子、ニュートリノ、電子と

少量の陽子、中性子がごちゃまぜになっていたそうですから

このときはもう物質だけの世界になっていたのでしょう



なせ、粒子だけが残ったのでしょうか?




この謎に対して、南部氏が

【 原初の宇宙で繰り返された対生成と対消滅によって

ほとんどの物質と反物質は消滅したが


「自発的対称性の破(やぶ)れ」によって

ほんのわずかに物質が残り

今の宇宙となった 】 と説明をつけたとされます




「自発的対称性の破れ」については

よくこんな譬えがなされます



テーブルを大勢の人が囲んでいる


自分から見て右手側にも左手側にも

ナイフとフォークとナプキンが置いてある


たまたま誰かが、左手側のナプキンを取ると

他の全員が左手側のナプキンを使わなければなくなる とか



底が盛り上がったワインの瓶は、左右対称なのに

そこに小さな玉を入れると

玉は瓶底の中央ではなく、周りのくぼみに落ち込む とか・・・




分るようで分からない譬えですが


まぁいずれにしても

外部からの作用によるのではなく

内部の相互作用により

対称性が破れる現象を「自発的対称性の破れ」というようです





女子よりも、男子の方が多く生まれるといいます

女子100に対して、男子103~107の確率だそうです


これは、X染色体を持った精子と

Y染色体を持った精子では運動能力に差があり


Y染色体を持った精子の方が小さくて軽いため

運動能力に長け


その結果、男の方が多く生まれると考えられています



新生児の死亡率が男子の方が高いので

これを補うための自然の摂理とも考えられていますが


これなんかも「自発的対称性の破れ」によって

そんな仕組みができたのかもしれません





1964年に、イギリス理論物理学者

ヒッグス(1929~・2013年、ノーベル賞受賞)が

ヒッグス粒子の存在を提唱しましたが


この理論にも、南部氏の理論は貢献していると言いいます



ヒッグス粒子は、質量の粒子

「神の粒子」と呼ばれ

その存在証明に半世紀もの間

加速器による実験がなされ、2012年、ようやく発見されています




質量については、こんな譬えがされます


パーティー会場で

みんなバラバラに近くの人とおしゃべりしていた


1人1人がヒッグス粒子です


おしゃべりは相互作用です


そこへ主役の学者先生(素粒子)がやってきた

するとヒッグス粒子は、自分とその先生との相互作用によって


先生の周りに集まり

その結果、先生(素粒子)は動きにくくなった=質量を持つようになった





ちなみに、南部氏は「弦(ひも理論)」も提唱しています


クォークを単独で取り出すことはできないという

「クォークの閉じ込め」について


現在では、クォーク同士がグルーオンという粒子を交換するときに生じる

「強い力」によるものとされていますが



この問題について

量子色力学(りょうしいろりきがく)の発展以前の

1970年に、南部陽一郎が

後藤鉄男(1931年?~82)という物理学者とともに

提唱したのが「弦理論」です



「弦理論」も「超弦理論」と同様に

物質の根源は、一次元の点ではなく、二次元のヒモであるとします



そして、「弦理論」では

クォークは粒子ではなく、ヒモのはしっこであるとします


そこで、ヒモをいくら切っても

はしっこだけを取り出す事はできない


これによって「クォークの閉じ込め」が起きているというわけです



弦理論は、量子色力学の発展により

正しくないことが証明され、一時捨て去られましたが


超弦理論によって、南部氏の先見性に

脚光があたることになったそうです





【 そもそも反粒子とは

質量、スピン、寿命が等しく

電荷の正負が逆の粒子を言うとされています


質量、スピン、寿命が本質で、電荷の正負は属性にあたるそうです



中性子は電荷を持ちません


しかし、中性子を作る3つのクォークが

電荷を持っているので

中性子と反中性子は、それぞれ別の粒子だと区別できるといいます



中性子の場合は、アップクォーク(プラス2/3)が1個と

ダウンクォーク(マイナス1/3)が2個で、電荷を足しあわせると0(中性)


反中性子は、反アップクォーク(マイナス2/3)が1個と

反ダウンクォーク(プラス1/3)が2個で、電荷を足しあわせると0(中性)




光子、グルーオン、Zボソン(ウィークボソンの一種)

ヒッグス粒子は、反粒子が自分自身であるとされています


これらの粒子は、電気的に中性です



〔 ウィークボソンには

質量が陽子の約86倍のWボソンと、陽子の約97倍のZボゾンがある

Wボソンには正の電荷を持つものと

その反粒子で負の電荷を持つものの2種がある

Zボゾンは電荷も持たず中性 〕




ニュートリノも、電荷を持たない粒子であるため

それ自身が反粒子である可能性があるとされますが


ニュートリノの反粒子が

ニュートリノ自身と異なる粒子であるかどうかは現在も不明です



ニュートリノと反ニュートリノの違いは

ヘリシティ〔運動方向に対するスピンの向き〕の違いで


ニュートリノには左巻きのものしか存在せず

反ニュートリノには右巻きのものしか存在しないようですが


この2つを区別しないと考える理論もあるそうです 】







CP対称性とアクシオン



CP対称性とは

「電荷を逆にしても、運動方向をひっくり返しても

物理法則は変わらない」ということとされます



Cの鏡に映しても、Pの鏡に映しても同じに映る

というのが「CP対称性を保つ」ということとされます



C(チャージ)変換は、電気的な性質を変換する鏡で

粒子を反粒子に置き換えても物理法則は変わらないということです



P(パリティ)変換は、空間座標(運動方向)を変換する鏡です




「CP対称性の破(やぶ)れ」は

弱い力による崩壊のときにごく稀に起きるらしいですが

強い力と電磁気力では起こらないとされています



強い力では

CP対称性を保存するような実験結果しかないそうです



ところが、強い力を考える量子色力学においては

CP対称性を破ることが、理論的に可能なんだそうです


これが「強いCP問題」です



これを解決するために考えだされた粒子が

アクシオンだといいます



「対称性が自発的に破れると

アクシオンという粒子が生まれる」といった理屈で


量子色力学においても、CP対称性が保持される

ことにした ということのようです



この未知の素粒子であるアクシオンですが

太陽中で絶えず生成されている可能性が考えられています


但し、太陽アクシオンは重いので

暗黒物質(ダークマター)の候補ではなく


別に、暗黒物質アクシオンなるものが予言されているようです

(初期宇宙に生成されたアクシオンが暗黒物質になったとか)







プランク長とプランク時間



量子力学では、空間の最小単位は「プランク長」

としていています


なぜなら、それより短い長さは、理論的にも

人類には、観測不可能であるとしているのです



波長が短いほど、小さなモノが観察できます



肉眼(眼というレンズ)で

物体を見ることができる限界は、1~0.1mm

(10^-3~10^4) とされていてます


光学顕微鏡で拡大すると、10^-6m まで観察できるといいます




しかし、レンズの質を高めても

可視光線で観える限界はここまです


それ以上、小さいモノをみようとしても

画素数が低い画像・モザイクがかった画像

にしか見えなくなるそうです




そこで、電子顕微鏡が使われます


電子も、光子と同様、粒子であるばかりでなく

波の性質をもつので、顕微鏡に利用できるわけです



電子顕微鏡では、10^-9m まで観察できるといいます




短い波長ほどエネルギーが高いので

電圧をかけてあげ、波長は短くすると


解析能力が高まり、10^-12mの大きさまで観察でき

原子がぼやっと見えるといいます



それもここまでが、限界です




さらに、それより小さな世界は

加速器で、素粒子同士をぶつけたときに

生じる非常に短い波長によって観察するしかなく


10^-19mまで、解析できるそうです





ところが、電圧をかけて、どんどん速度を上げていくと

E = mc2 から、素粒子の質量がどんどん増えていきます



【 物体は光速に近づくと、相対性理論の

E = mc2

〔エネルギー(E)=質量(m)×光の速度(C)の2乗〕という

「質量とエネルギーの等価性」の公式 から


加速しにくくなる→ 質量が増える ことになる


加速されない分のエネルギーが質量に変わる

ということだとされる



イメージとしては

「光速を超えて進む存在はない」とされていることから


光の速度で進むAさんの背中を、Bさんが押しても

早くなることはなく

Bさんが押したそのエネルギー分

Aさんが重くなっていくということなんて語られている 】





すると、質量の重たい粒子同士が衝突し

そこに、ミクロのブラックホールが生まれます



ブラックホールは、光も脱出不可能な

事象の地平線で、その中は、理論的にも観察不可能です



このときの波長の長さが

「プランク長」(1.616×10^-35m)です


波長の長さ=観察可能な最小の長さ なので

プランク長が、長さの最小単位とされます



そして、量子力学では、観えないものは

存在しない という理屈なので

これが空間の最小単位とされているのです




プランク長は、「量子論の父」と呼ばれる

マックス・プランク(1858~1947・ドイツの物理学者)

が提唱した値で


「プランク時間」は、光子が光速で

プランク長を移動するのにかかる時間


「プランク温度」は、ビッグバンの瞬間から

1プランク時間経過したときの宇宙の温度です







ニュートリノ



ニュートリノは、電荷がないとされ

かつては質量も持たないと考えられていました


また、他の物質とほとんど反応せず

エネルギーだけを持ち去ることから

「幽霊物質」と呼ばれていたそうです



太陽からはいつもたくさんの

ニュートリノが放出されているそうです


地球をつくっている岩石や地球の内部からも

たくさんのニュートリノが放出されているといいます



また、宇宙線(宇宙からたえず地球に飛んでくる

高エネルギーの放射線)からつくられた

ニュートリノがいつも降り注いでいるとされます




つまり、ニュートリノは

我々の身周りにたくさん存在している

ということになりますが


他の素粒子と違って電荷を持たず

物質と反応する強さが桁違いに小さいので

人体ばかりか地球さえも通り抜けているそうです




また、宇宙が誕生したとき

すでに膨大な数のニュートリノが生み出された

と考えられています


なのでニュートリノの研究が進むと宇宙の進化が明らかになる

なんていう話もあります




ニュートリノには強い相互作用と電磁相互作用がなく

弱い相互作用と重力相互作用でしか反応しないといいます



ニュートリノの確認は

ニュートリノが水の中で反応すると

電子やミュー粒子という電荷を持った素粒子が


チェレンコフ放射〔荷電粒子の速度が

その物質中の光の速度よりも速い場合に光が出る現象〕

という特殊な青い光として飛び出してくるので


これを電気信号に変え、数100万倍に増幅して検出するそうです




ニュートリノの質量って実証されているの?


まず、ニュートリノの存在が言われたのが

「弱い力」のベータ崩壊に関してです



陽子とともに原子核を構成している中性子は

ベータ崩壊し、陽子と電子と反ニュートリノ

となるとされます



このとき、運動量保存の法則からすると

硬い球体を2つに割って片方が右に飛んでいったら

もう片方は必ず正反対の左に飛んでいくことになります



ところが中性子がベータ崩壊し、陽子と電子ができるとき

一方が正反対ではなく少し斜めに飛んでいくそうなのです




これに対し、「相補性原理」を唱えた

デンマークの理論物理学者 ボーア(1885~1962)が


「原子核というミクロの世界では

エネルギー保存の法則や運動量保存の法則が成り立たない」

と主張したことで、科学界が大混乱となったといいます



〔 相補性原理・・・ 物質の最小単位においては

粒子性と波動性の両方の性質をもっている

お互いに補い合っていて、状況に応じてその性質があらわれてくること 〕




このボーアの考えを否定した

スイスの物理学者 パウリ〔1900~58・

パウリの排他性原理を発見・ノーベル物理学賞を受賞〕が


「ニュートリノ仮説」を唱え

エネルギー保存の法則や運動量保存の法則が成り立つようにしたそうです



〔 パウリの排他性原理・・・ 原子核を周る電子の1つの軌道に

量子状態を示す4つの量子数全部が一致する電子同士は

存在することはできない 〕




これは、中性子が崩壊すると

陽子と電子だけでなく、ニュートリノという

未知の粒子が放出されているという仮説です



ニュートリノの発見は難しい

とされていましたがのちに発見され


さらにのちには、ベータ崩壊のときに発生するのは

ニュートリノの反物質であることが判明し

反ニュートリノと呼ばれることになったそうです





ニュートリノには、3種類あり、これらは全て電荷を持ちません


また、それぞれが決った素粒子

(マイナスの電荷を持つ素粒子)としか反応しません


そこで、相手の名から

電子ニュートリノ、ミューニュートリノ、タウニュートリノと呼ばれます




ところがのちに、ニュートリノが

別の種類のニュートリノに変身することが分かりました


これを「ニュートリノ振動」

〔周期的に変身するので振動という〕といいます



この理論は、1962年に

日本人の3人の物理学者によって提唱され

98年に、スーパーカミオカンデのニュートリノを

観測することで実証されています






● スーパーカミオカンデ



東京大学宇宙線研究所によって

岐阜県飛騨市の神岡鉱山の地下1000mに建設された

国内最大(世界でも有数)の実験装置


1983年に、大統一理論の予言する陽子崩壊を実証するために

3千トンの超純水を蓄えるタンクを備えた「カミオカンデ」が完成


96年に、5万トンの超純水を蓄えるタンクを備えた

「スーパーカミオカンデ」に移行



カミオカンデの跡地には

東北大学大学院理学研究科付属

ニュートリノ科学研究センターの

実験装置「カムランド」が建設されている



スーパーカミオカンデが水を用いるのに対し

カムランドは、1千トンの液体シンチレーター(光る粘性の液体)

を用いる検出器である



〔 液体シンチレーターは

ベータ線やガンマ線などの放射線が通過すると

シンチレーション光という特殊な青い光を出す


水を使ったニュートリノ検出器に比べ

シンチレーション光による発光量は100倍も大きいため

より低いエネルギーを観測できるという 〕



1987年、カミオカンデによって史上はじめて

自然に発生したニュートリノが観測


これにより、2002年、カミオカンデの設計を指導、監督した

小柴昌俊(1926~2020・東京大学特別栄誉教授)に

ノーベル物理学賞が与えられている






この「ニュートリノ振動」は、質量の存在なしには説明されないので

ニュートリノの質量が確認されたわけです



また、スーパーカミオカンデの実証は

ミューニュートリノが、タウニュートリノに変身するものですが


2001年には、カナダのグループにより

太陽から飛んでくる電子ニュートリノも変身することも

明らかになったといいます



これによって、≪太陽から放射されるエネルギーが

全て核融合で賄われているとすると

観測されるニュートリノの値がもっと大きくならなければならない

ニュートリノが理論的予想の1/3しか検出されない≫

という「太陽ニュートリノ問題」が解決されたといいます



つまり、≪ミューニュートリノが、理論的予想よりずっと少ないのは

振動により、観測にかからないタウニュートリノに変わったため≫

ということになったそうです




ニュートリノが、ダークマター(暗黒物質)の正体ですか?


ダークマターは重力物質だから質量を持ちます


なのでニュートリノに質量あるとなると当然

候補にあがってくるでしょうけれど


ニュートリノでは、質量が小さすぎて

ダークマターの存在の根拠となっている

宇宙大規模構造を構成するだけの重力を得られない

とも考えられているようです







超弦理論と量子重力理論



マクロの世界を扱う相対性理論では決定論に立ち

ミクロの世界を扱う量子力学では

あらゆる事象を確率的に解釈する、非決定論的に立ちます



また、相対性理論では

光子が粒子性と波動性を併せ持つことに起因する

物理的な性質に対して無力です



このようなことから

一般相対性理論と、量子論との融合を試みたのが

「量子重力理論」であり


「量子重力理論」というのは、山ほどあるそうです



その中の圧倒的に流行っているのが

超弦理論(ちょうげんりろん・超ひも理論)です


超弦理論が99% 残り合わせて1% なんていう話もあります



そんな少数派の中では

「M理論」(ブレーン理論・膜理宇宙論)などが、人気があるようです




とはいえ、超弦理論がうまくいっているか

というとそうではありません


この理論では、人間に理解不能な5次元以上の次元を必要とします



超弦理論の場合、物理学が理想とする

重力と、他の力(電磁気力・強い力・弱い力)を統一する

という観点をもちます


そのためには、高次元の存在が不可欠なのです





4つのうち2つは既に統一理論が完成しています(電弱統一理論)

そして3つの統一もだいたいメドが立ってきています(大統一理論)

しかし「重力」だけはどうしても統一できません



地面に落としたクリップを

冷蔵庫にくっつけているような小さな磁石で拾うことが出来ますよね

これは小さな磁石の磁力に

地球の引力つまり重力が負けているということを意味しているそうです



例えば、2つの電子の間に働く電磁気力は

その間に働く重力の一億×一億×一億×一億×一億倍の

さらに100倍も大きいそうです



このように重力は、他の力に比べてずば抜けて弱い

4つの力のうちなぜだか重力だけが弱いそうです



超弦理論によると

多次元世界が存在し

重力はそこを通って我々の4次元にくるので

弱く観測されるのであると説明されているようです





このことからなのか

関連する論文の数が、膨大にふくれあがり


専門家さえが

「もはや、どこまでが超弦理論なのか訳が分からない」

と語るにまで至っているそうです




また、超弦理論に限らずあらゆる量子重力理論には

実験的な根拠が何もなく

数式上だけでしか確認されておらず


こうした理論は、必要条件をいくらでも追加でき

宇宙理論を自由に作れるという懸念も指摘されています






超弦理論とは

物質の最小単位は粒子ではなく

原子や素粒子よりもはるかに小さいヒモであるとします


それまで、物質を構成する基本は0次元(点)の粒子である

と考えられていましたが

そうではなく1次元の「ヒモ」としたところに面白さがあります



ひもには、糸くずのような形のものと

輪ゴムのような形のものがあるといいます


現在、知られている素粒子は、数100種類あるらしいのですが


超弦理論では、ヒモがエネルギーを与えられて振動するとき

振動数の違いで、異なる素粒子のように見えているだけである

と考えます



そして、このようなヒモが10次元の真空にいっぱい詰まっている

10次元のうち6次元は、ヒモの中に閉じこめられていて

残りの4次元、すなわち3次元+時間が、我々の宇宙だ考えます



「銀河も、惑星も、生命も

バイオリンのヒモが奏でるメロディーのようなものだ」

といった譬え話がよくなされています





最終的には、5つの超弦理論が誕生し

26次元のひもを考える理論なんかもあったらしく


これら5つの超弦理論を統合したのが

11次元〔空間次元が10個、時間次元が1個〕を説く

「M理論」(ブレーン理論・膜理宇宙論)です



超ひもを次元を上げて、物質の根源を2次元の膜とした理論だそうです


M理論の構成要素は、「メンブレーン」(2次元の膜)と呼ばれる

0から9までの次元をとりうる物体らしいです




M理論では、宇宙を、泡状構造体と考え

いくつもくっついたシャボン玉(たくさんの宇宙)の1つが

我々の宇宙であると考えるようです


我々の宇宙は

「泡だらけの海に浮かぶ1個の小さな泡」なんて表現されます



また、重力が弱いことについて

重力が膜の近くに集中する

だから他の場所では重力が弱いと説明します



またビッグバンとは、膜が波打っていることから

膜同士の衝突によって発生するもので

この衝突エネルギーによって、恒星・惑星・銀河など多くの物質が

生み出されたと説明するようです





それから、量子重力理論の中には

我々の信じている三次元世界は、幻想であるという

ホログラフィック理論があります



ホログラムとは

5千円札と1万円札に偽造防止のために

貼られている光の当たり具合で

模様や色がキラキラと変化するあれです



ホログラムは2次元の物体で

3次元の映像となる情報が

暗号化され記録されていて


適切な光を当てると、3次元の映像が出現するので

立体写真、3次元写真とも呼ばれます





この理論によると

我々の世界、つまり3次元(もしくは時間を加えると4次元)は

2次元の中で動き回っている

素粒子によってつくり出されている幻想であって

ホログラムの映像のようなものであるというわけです



重力や三次元の空間は

2次元の時空での粒子の相互作用から生れる幻であるそうです




例えば、りんごの木があり

りんごが重力によって落ちたとします


この理論によると

これはシャボンの中の幻想にすぎない


実体は、シャボンに映る二次元の映像であり

りんごは重力によって落ちたのではなく


素粒子間の「カラー」という性質のために

落ちたのである

ということになるらしいのです



これなら、重力を量子力学のカラー理論で

説明できるということです




ホログラフィック理論だと、宇宙全体(三次元)が

ホログラム(二次元)によってつくられている幻影

ということになるわけです




この理論では、現実の世界を2次元ととらえるか

3次元ととらえるかは見方の問題であるともいいます



2次元ととらえて

宇宙の事象を、重力以外の別の法則で説明することも可能だし


3次元ととらえて、重力をもって説明することも可能だというのです


そして、このようにすれば宇宙のあらゆる現象を

うまく説明することが可能になると考えるようです







原子や素粒子の構造



ところで電子顕微鏡でも

観察できる最小の存在は

ウィルス〔DNAあるいはRNAが

カプシドというタンパク質の殻につつまれているだけの構造〕

だと聞いたけど・・・


そうなると、分子や原子は

小さく電子顕微鏡でも見えないということになります



では、分子や原子の構造や

素粒子の運動量、またその質量(重さ)などを知るには

どのような方法がとられているのでしょうか?



現在では分解能がもっと高性能の電子顕微鏡も開発されていて

これを使えば、原子も直接観察できるといいます

ただ、原子や分子の並び方を観察する程度だといいます



分子については、結晶に電磁波を照射し

その吸収や散乱を調べ

構造や性質を知る方法などがあるようです



分子の構造を知るときによく使う代表的な手段に

「X線構造解析」というのがあるといいます


X線を物質に当てると、多くはそのまま物質をすり抜けるそうですが

一部は吸収されたり


原子核のまわりを回っている電子によって

散乱したりするそうで


この散乱されたX線を観測することで

分子構造を知ることができるといいます




原子や素粒子の構造についてはどうでしょう?


機械なら、ドライバーで分解して

中の構造を調べることが可能です


細胞なら、メスによって解剖にして、それが可能です


また、分子なら、化学反応によって分解して

中身を調べることもできます



しかし、原子となるとそうはいきません


そこで考えついたのが

取り出したい物質を含むものを

壁にぶつけて壊すという方法らしいのです



陽子を取り出したければ、その上の原子を壁にぶつけて壊す

さらにその中の素粒子を取り出したければ、陽子を壁にぶつけて壊す


これをする道具、ドライバーやメスが「加速器」なわけです





また、素粒子の運動量を知るには


過熱された液体水素で満たした

「泡箱」(あわばこ)

という装置〔数10センチ~2メートル〕を用いるそうです



泡箱を、電荷を持つ粒子が通ると

粒子が通過した部分の水素が気化し、泡として観測される


なので、素粒子が通った後に残る線を写真に撮って観測するそうです



電荷が0の素粒子だと泡を壊さないので

線が残らない場合が多いらしいですが


β崩壊〔中性子が、電子(ベータ粒子)と

反電子ニュートリノを放出して陽子になること

放射線としてベータ線を放出〕したところが残っていて


「ここを通ったはずだ」と推測できるといいます



そこで、泡箱に磁場をかけ

どのぐらい曲がったのかを調べることで

運動量なんかが測定できるそうです


その曲率から、運動量が分かるし

曲がる向きで電荷が正か負かが分かるらしいです



また電磁波のガンマ線なんかは

電荷がないので、磁場で曲がらないそうですが

カロリメータというエネルギー測定器でエネルギーを測定するといいます



「泡箱」というのはわりと原始的な方法らしいです




質量は?


素粒子の質量は、エネルギーと運動量の測定し

そこから特殊相対論の関係式を用いて求めるそうです


銀河も回転速度が分かれば

その銀河にはどれだけの質量が「なければならないか」が

計算できるそうですから、それと同じことのようです





量子力学は「真」か「偽」か? ①




Top page





 自己紹介
運営者情報




 時間論




 幸福論




 価値論




 心と
存在




言葉と
世界




食べて
食べられ
ガラガラ
ポン





Suiseki
山水石美術館