緋山酔恭「B級哲学仙境録」 文化論 Ⅲ 文化の本質は「暇つぶし」



B級哲学仙境論


文 化 論


 




文化論 Ⅲ

文化の本質は
「暇つぶし」





「文化」とはなんでしょうか?


まず「文明」というものがあります


これは人間が、簡便(簡単で便利)や安全に

生活を送るために発達させてきたモノやコトです


例えば、水を手ですくって飲むより、コップで飲む方が効率がいい

そこでコップというモノ=文明が生まれます



そのうちそのコップに彫刻をしたり

色づけしたりという「文化」が生まれたわけです


また、家という文明に、絵や花を飾ったり

石の置物を飾ったりという「文化」が生まれたのです



このように文化とは

≪誕生した文明に「遊び心」が加わることで、生まれる現象≫

と言えます


そしてこの「遊び心」の地域的な差が

文化の違いということになります






では、文化の本質とはなにか?


それは「暇つぶし」です


人間にとって、暇というのは

お腹が減っているのと同じくらい辛いのです


そこで私たちは暇をうめるために、多種多様な文化を楽しむのです




「恐怖」は、本来、動物としての本能では避けます


ところが、我々は

ジェットコースターやホラー映画


果てはバンジージャンプといったものまで

楽しんで、暇つぶしをするのです






つまるところ、文化とはなんのためにあるのでしょうか?



旧約聖書では、神の言葉に従わず

アダムとイブが、知恵の実を食べて

神から天上の楽園エデンを追放され

加えてそれ以来、人間の男は労働、女は男への服従と出産

の義務を背負わされたとされています


ゆえにアダムとイブの子孫である全人類は

生まれながらにして罪人なのです



しかし人間にとって「暇」って

お腹減っているのと同じくらい辛いのです(笑)




聖書や仏典に描かれている

天国や極楽浄土などといった

なにもしなくていい場所なんていうのは

永遠の幸福を得られる場所どころか

暇で辛い場所なのです




釈迦の話だと

「執着を生むのだから執着を消滅したら苦から解放される」

ことになりますが

今度は「暇」という苦が待っているのです(笑)





結局、人間というのは、労働したり、子育てしたり

文化的なことをしたり、暇つぶしをしたり

そういったなかに、喜びをみいだす、楽しみを創造していく

そこにしか充実も、幸福もないのだと思います






暇つぶしするにあたっては

なにが「正しい」なんて決められませんよ



例をあげましょう



「人間は生まれながらにして罪を背負っている」

という前提がなったら

ユダヤ教もキリスト教もイスラム教も成り立ません



キリスト教では

イエスの贖罪(人類の罪を背負って十字架にかけられたこと)

によって人類の罪は赦されましたが


イエスの贖罪以後に冒してきた罪は赦されていないので

いずれ世界の終末、最後の審判の日がくる

なんて話になっているのです




初期キリスト教団では、終末はすぐにもやってくる

と言われていて

千年王国説(至福千年期説)などが唱えられました




千年王国説とは

ヨハネ黙示録20章の字句をそのまま解釈したものです


世界最終戦争のハルマゲドンに先立ち、キリストが再臨する



ハルマゲドンがおこるとキリストは地上に降りて

悪魔(サタン)を鎖につなぎ、地上に王国を建設する


罪人(つみびと)は地獄に落ち


義(ただ)しいキリスト教徒や殉教者は

復活(第1の復活)し、不死の身体を与えられ、幸福の生活を送る


この地上の王国が千年続く



王国の終わりにあたり悪魔は自由となり

神と戦い、悪魔は闘争の末に決定的に滅びる



そこで全ての人間が復活(第2の復活)し

キリストによる最後の審判が行われ

罪人(つみびと)は火の池に投じられ

義しい人間は神の国(天国)で永遠の幸福を得る


というものです




初期キリスト教団では、終末はすぐにもやってくると言われていて

千年王国説(至福千年期説)が唱えられたのです



ところが後には、終末の年代を定める考えはなくなり

むしろ終末はイエスの死と復活によってすでに始まっている

現在は終末の始まりと決定的な終末の中間にある

という考え方が主流になりました



つまり、都合によって変わっていくのであって


結局、なんだっていいのです(笑)

そもそもが暇つぶしなのです





よく、「人生は、どれだけ生きたかよりも

どのように生きたかが大事だ」とかいいますが


人生とはとどのつまり

どのようにして、暇つぶしを楽しめる自分を確立し

どのように、暇つぶしをして終わるか というだけのことだと思います



そして、そうした人生の暇つぶしを助けるものが、文化なのです




文化論 Ⅳ 文化の本質は「差別」




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