緋山酔恭「B級哲学仙境録」 シャーマニズムとイタコ



B級哲学仙境論


シャーマニズムと

イタコ

 




シャーマニズムと
イタコ





シャーマニズム



シャーマンが、トランス(恍惚)状態、神がかり状態となって

神や霊といった超自然的存在の言葉を語るシャーマニズムも

古いタイプの宗教です


邪馬台国の女王 卑弥呼もシャーマンだったといいます



シャーマンは、ツングース語(シベリア東部・中国東北部に住む

ツングース系諸民族の言語)のシャマン(霊媒師)に由来するといいます





日本のシャーマンの代表が

民間巫女(みこ)の「イタコ」(東北)と

「ユタ」(沖縄)です



巫女は、神社で神に仕える

神社巫女〔かつては処女をあてた〕と


民間巫女に大別されますが

民間巫女は≪口寄せ≫をするところに特徴があります



巫女の語源は?

不明とされますが、神の子を意味する「みかんこ」の転

また、貴人の子を敬って称したなどと言われています




口寄せって、死霊を招いて

神がかり状態となり霊の意志を語るものですか?


口寄せには、「死口」(しにくち)の他


神霊を寄せる「神口」(かみくち)

生霊を寄せる「生口」(いきくち)があるそうで

個人によってどれを得意とするかがあるようです



神や死者・さらには未来人・宇宙人など交信する

「チャネリング」は

現代版の口寄せといったところのものです




また、シャーマンは

口寄せ(霊との交信)ばかりでなく



とり憑いた悪い霊を除く「除霊」

さまよっている霊を浄化(成仏)させる「浄霊」

またそれらにより、病気を治したり、災いを除くこと


さらには、予言、占い、前世や過去世をいい当てること

悩み事相談なんかもします



悩み事相談の答えは

あなたの不幸は


「○代目前の先祖への供養が足りないために

その先祖が苦しんでいるのが原因です」とか


「近くで自殺した女性がいてあなたがやさしい人だから

あなたにとり憑いたのです」とか


「平家の落ち武者の霊がとり憑いています」とか


いうもので

結局、除霊や浄霊による供養をするわけです



近年では

スピリチュアルカウンセラーなんていうのが登場しましたが

彼らのしていることは、民間巫女と基本変わらないわけです




それから未開社会では

青年期に夢や幻覚で見た

鷲や熊などの動物霊を個人の精霊(守護霊)としたり


日本のように祖霊信仰を持つ社会では

先祖の霊が子孫を加護するという思想がありますが


シャーマンニズムは、守護霊と関係が深いといいます




世界的に見てシャーマンになるには三つの型があるとされます



①  世襲型

代々シャーマンの家系で守護霊が継承される




②  召命型


守護霊に選ばれた者が、巫病(ふびょう)にかかり

夢や幻覚で守護霊を見たり

幻聴で守護霊の声を聞くなど心身に異常をきたす


選ばれてしまったら本人の意志で拒絶することは困難で

拒否すると異常がひどくなり死ぬこともある


先輩シャーマンの指導によりシャーマンになると異常は消え

守護霊に守られる




③  修行型


自分の意志や親族などのすすめにより

師のシャーマンのもと修行し

呪文やトランス状態になることなどを学び


最後に守護霊を依り憑かせる儀式をうけて

シャーマンになるというもので

このとき陶酔や幻覚のなかに現れた霊体が守護霊となる




守護霊は、神霊であったり、先祖の霊であったり

精霊(鷲や熊などの動物霊)であったりするらしく


シャーマンと守護霊が夫婦や主従の関係とされたり

守護霊に眷属(けんぞく・家来)がいて

シャーマンは守護霊の力により眷属を使うことができる

とされている場合もあるといいます







イタコ



イタコは、東北の「津軽」と

「南部」〔岩手県と青森県下北半島と

北秋田にまたがる地域。狭義には盛岡をさす〕の民間巫女です



語源は、アイヌ語のイタク(語る)に愛称のコが付いたという説や

戒名を板に書いて祀るので板コである等の説があります



下北半島の恐山〔おそれざん・879mの火山

宇曾利山(うそりざん)ともいう〕を聖地とします



恐山は、862年に

慈覚大師 円仁(延暦寺3代座主。天台宗山門派の祖)が

地蔵尊を祀ったことに始まると伝承され


菩提寺(円通寺地蔵堂)があり、比叡山、高野山

とともに日本三大霊場とされます



菩提寺は1536年に 聚覚(じゅかく)が再建して以来

山腹の円通寺〔曹洞宗。聚覚の開山〕の管理となっているそうです



宇曾利湖というカルデラ湖を中心に

周囲に朝比奈岳、円山、大尽山、釜臥山などの山々があり

周囲の山々は、八葉(はちよう・8つの花弁)蓮華の花弁を

あらわしているとされます



いたるところに硫気孔があり

音を立てて硫気を吹き出していて

三途の川、賽の河原、八大地獄などもあり

死霊信仰と地蔵信仰が習合した霊場です



死者の集まる山として7/20~24日の大祭には

参詣や観光でにぎわい


数珠を手にしたイタコによる口寄せが

境内のいたるところで行われます



この恐山の大祭や

津軽半島 金木町川倉の地蔵盆には
沢山のいたこが集まるといいます



【 地蔵盆 ・・・・

毎月24日は地蔵の縁日で

8月23・24日(古くは陰暦7月24日)に行われる

子供の無病息災を願った地蔵菩薩のお祭り 】





イタコには盲目の女性が多いと聞くけど?


天台宗の寺院でも

養成しているところがあるそうですが


普通、盲目の女性が少女のときに

師のもとに弟子入りし


経文、祈祷、筮竹(ぜいちく)による占いなどを

学ぶことが多いそうです



独立のときにカミ憑(つ)けという神婚式を行い

自分を守護する神や仏をもらうらしいです



お彼岸やお盆に死者の供養として口寄せをする他


病気治しのオッパライ

(お祓い。猫や馬や蛇などが描かれているイタコ絵馬を用いて

病気の原因を占ってオッパライの祈祷を行う)をしたり


オシラサマを祀ったりするそうです




●  オシラサマ


東北地方の民間信仰の神様


多くは30㎝ほどの桑の木2本に

男女や馬の顔などを彫ったり書いたりして

おせんたくと呼ぶ布を着せ

家の神、農耕神、養蚕神としたもの


神棚の祠におさめる


春秋の祭の日には祠から出して

おせんたくを着せ替えたり


本家の老婆が

祭文(さいもん・祭のときに神に捧げる言葉

祈願や賛嘆の心を表した言葉)を唱えるという



イタコが行う土地も多く

オシラサマを両手で持って舞わせながら祭文を唱える


イタコがオシラサマを舞わせたり

少女がオシラサマを背負って遊ばせることを

オシラアソバセというらしい



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