緋山酔恭「B級哲学仙境録」 ビッグバン宇宙・定常宇宙論・プラズマ宇宙論



B級哲学仙境論


宇 宙 論


 




宇宙論




定常宇宙論



以前の科学界では

ビッグバン理論と定常宇宙論とが

対立する構図になっていたそうですが


1965年に、ビッグバン説の裏付けとなる

宇宙マイクロ波背景放射

(ビッグバンの名残・こだま)が発見され

ビッグバンが勝利したといいます



ビッグバン宇宙論は

宇宙という容れ物が「現在は膨張している」と考えるのに対し


定常宇宙論は、宇宙という容れ物の大きさは

「未来永劫変わらない、時間的に永遠」と考える宇宙論なんだそうです



また、定常宇宙論では、宇宙に果てがないと考えます

空間的にも無限なのです



宇宙に果てがある場合、果ての近くにある天体には

果ての外からの重力は働きません


そのため重力で中心方向へ引っ張られ

いつかは宇宙が潰れる=ビッグクランチを起こしてしまいます



だから、ビッグクランチは、宇宙は永遠であるという

定常宇宙論そのものを否定するのです





また、宇宙は膨張しているという事実が発見された後も

膨張して薄まった密度を補うように物質が供給されていて

宇宙全体としては構造が変わらないとしました



この主張が成り立つためには、密度を不変に保つよう

新たな物質が時間とともに絶えず生成されている必要があます


このため無から新たに物質が生成される必要があり

質量保存の法則を破っているそうなんですが


1年間で1立方kmあたり、水素原子1個程度で良く

そんな現象は観測も実験による検出もできないので

支持されていたようです





定常宇宙の欠点に

「宇宙が均一で無限に広ければ

無数の星によって、夜空は明るく輝くはずだ」


という「オルバースのパラドックス」

(オルバーズは19世紀のドイツの天文学者)

があります



「なぜ夜は暗いの?」 → 「そりゃ、太陽が沈んでしまっているからだよ」

「でも夜にだって、空には星=恒星はいっぱいあるでしょ?」 →


「星は太陽に比べて暗いから」「星は太陽に比べて小さいから」

「星は太陽に比べて遠くにあるから」 →


「確かに太陽より明るい星や大きい星はたくさんある

ただ、地球から遠くにあるので、太陽に比べると小さく暗い」


というのが一般的な回答ですよね




これに対し、オルバースは

「そうは言っても

もし、宇宙が無限の大きさを持っているなら

星は無限に存在することになる

そうなると一つ一つの星の明るさは、かすかでも

それが無限個存在するのだから

夜空はもっと明るくないとおかしいじゃないか!」

と考えたわけです



これは夜景をイメージすると分かりやすいです


一個の電灯を遠くから眺めても暗すぎて見えませんが

街全体に電灯が分布していれば

遠くから見たとき、まぶしい夜景になります



オルバースは「朝は明るく、夜は暗い」

という誰もが疑わない常識に


「それはおかしいな- 宇宙が均一で無限に広ければ

無数の星によって空が埋め尽くされる

なので夜空は明るく輝くはずだ」

と論じたわけです





それではなぜ、夜は暗いのか?


その理由は「ビックバン」によって

宇宙が誕生したからだと考えられています


そして宇宙は膨張していて

遠くの星ほど速い速度で遠ざかっているので

なかなかその光は地球に到達しない


だから夜は暗いのだそうです







ビッグバン理論



ビッグバン理論とは、

宇宙が、約138億年前に

原子より小さな点(とてつもなく高温で高密度)から

ビッグバンという爆発によって出現したというものです


なので、宇宙には始まりがあるのです


ちなみに、この現在の宇宙の前に

過去に宇宙があったのかは論じられていません




ビッグバン理論は

アインシュタインの相対性理論=重力の理論

をもとにして考え出されたものといいます



ビックバン理論の根拠は、現在、宇宙が膨張をしている →

過去には小さかったという論理です




現実に、銀河団と銀河団の間は広がっているそうです


銀河がいっぱい集まった

銀河団のなかの銀河と銀河、星と星は

引力によって結ばれているので


距離は変わらないか逆に近づいているそうですが

銀河団と銀河団との間がものすごいスピードで広がっているといいます


〔太陽系は、銀河系(天の川銀河)の一部であり

近くのアンドロメダ銀河などとともに、おとめ座銀河団の一部〕


この事実から

そしてどんどん時間をまきもどしていくと

過去(現在の宇宙のはじまり)の宇宙は

ゼロに近いものとなるわけです







地球から一番遠い所では

光速の3倍以上で宇宙が膨張していると予測されています


≪質量をもつものは、光の速度を超えて移動できない≫

というアインシュタインの理論に反していないのか?



それにはこんな説明がされます


【 しぼんだゴム風船に点(銀河)を書き、風船をふくらませる

風船の点は動いていないのに、点どうしの間(空間)が広がってゆく

これなら点は動いていない 】


つまり、空間は物質ではないから

光の速度を超えて広がっていてもおかしくないというわけです




こうした観測の根拠が「赤方偏移」(せきほうへんい)です


光には波長と色があって

可視光線の範囲で言えば

波長が短いと青、波長が長いと赤になります



そして、光源〔光を発している物体。太陽や蛍光灯〕

が遠ざかると


波長が長い方=赤い方にズレてくる

光源が近づくと波長が、短い方=青い方にズレてくる



銀河からの光を受信して

スペクトルを解析した結果

遠い銀河ほど、赤方偏移の量が多いことが明らかになった

というのが、宇宙膨張論の根拠です






ビッグバンがあった証拠とされるのが

「宇宙マイクロ波背景放射」です


ビッグバン直後の超高温の宇宙が放った光は

その後の宇宙の膨張によって波長が引き延ばされ

現在では電磁波の形で宇宙に残っているであろう


その光は、膨張した現在の宇宙では

「あらゆる方向からやってくる電磁波」になっているはずだ


と予言され、発見されたわけです








ビッグバン誕生まで



アインシュタインが

一般相対性理論(1915年に提唱)より導き出した

宇宙方程式によると、静止した宇宙は導き出せない


宇宙は膨張したり収縮したりするそうです



しかし、アインシュタインは

大きさが永遠に変わらない静止した宇宙を信じていたため

方程式に、わざわざ、万有斥力(引力の反対。反重力)を意味する

「宇宙定数」(宇宙項)を導入し


宇宙は重力に押しつぶれないために

反重力が働いて静止しているという考えを導き出したといいます





ところが、1922年に、アレクサンドル・フリードマンが

「宇宙が膨張している」可能性を指摘し

それが1929年、ハッブルにより観測的に実証されます



● アレクサンドル・フリードマン

1888~1925・ソ連の宇宙物理学者。数学者。気象学者

一般相対性理論の方程式に従い

宇宙項の存在を考えない膨張宇宙の

モデル=フリードマンモデルで知られる



アインシュタインは、宇宙項を付け加えたことを

「生涯最大の失敗」と語り

これを取り消したのは有名な話です




その後、ルメートル〔1894~1966・宇宙物理学者。天文学者

カトリックの司祭。ベルギーのルーヴェンカトリック大学教授〕により

ビッグバン説が提唱されます



彼の宇宙論は、宇宙項(反重力)を考えるもの

(=ルメートル・モデル)ですが


アインシュタンは、ルメートルのビッグバンという考えに

キリスト教の天地創造説を強く連想させるものがあったので


ルメートルに対し

「計算としては正しいが、その物理学的考え方は忌まわしい」

と言っていたといいます



ただ、ルメートルは、ローマ法王 ピウス12世が

「ビッグバン説は、神の天地創造を科学的に証明したものだ」

と讃えたのに対し


「この理論は全て科学的に検証できるものなので

そのようなことはおっしゃらないで下さい」

という手紙を出したという話もあります



さらに、彼のビックバン説は

ガモフらによって、実のある理論が加わり

標準的な宇宙論となっていったとされます



● ジョージ・ガモフ

1904~68・アメリカの理論物理学者。ビックバン理論の確立者

フリードマンの弟子。ルメートルの提唱したビッグバン宇宙論を支持

宇宙背景放射の存在を予言




当時の科学界では

ビッグバン理論と定常宇宙論とが対立する構図になっていたそうですが


1965年に、ビッグバン説の裏付けとなる

「宇宙マイクロ波背景放射」(ビッグバンの名残・こだま)が発見され


それによって、ビックバン理論が

宇宙理論の定説となり、現在に至るまでその位置を譲っていないわけです



ちなみにルメートルは、宇宙背景放射発見された後、間もなく死去しています








宇宙マイクロ波背景放射



1965年、アメリカのベル電話研究所のA.ペンジアスとR.ウィルソンが

通信電波の雑音測定をしていところ

(アンテナの雑音を減らす研究をしていたという)


受信機以外の電波雑音が宇宙からやってくるのに気づいたそうです


この偶然の発見によって

彼らはノーベル物理学賞を受賞(1978年)しています



とはいえこの電波をめぐっては

1960年代に「遠方銀河の恒星からの光が散乱されたものである」

とする定常宇宙論の支持者との間に激しい議論があったそうです


温度の予測値は散乱光モデルの値の方が近いものであったといいます


しかし1970年代に入ると

大勢はビッグバンの名残であるとする説に傾いていったそうです






電子レンジの原理から分かるように

水はマイクロ波を吸収するので

宇宙背景放射を地上で観測するのは非常に困難であるといいます





宇宙背景放射の最も有名な観測実験は

1989年から1996年にかけて行われた

NASA(アメリカ航空宇宙局)が打ち上げた

宇宙背景放射探査機 COBE(コービー)によるミッションで

全天にわたって宇宙背景放射を観測し、地図が作成されたといいます



これによって

「宇宙の大規模構造」のもとになった温度のゆらぎ

〔絶対温度3度(-270℃)の平均の値に比べて

10万分の1℃程度のゆらぎ=違い〕 が発見できたそうです




宇宙マイクロ波背景放射の温度ゆらぎ

COBE(コービー)による

宇宙マイクロ波背景放射の全天画像




宇宙マイクロ波背景放射の温度ゆらぎ

NASA(アメリカ航空宇宙局)が打ち上げた

宇宙背景放射探査機WMAP(2001~10)による




欧州宇宙機関(ESA)が打ち上げた

宇宙背景放射を観測するための

人工衛星プランク(2009~13)による

宇宙マイクロ波背景放射の全天画像




このゆらぎの状態は

「宇宙の晴れ上がり」の時点を反映していると説明されます




●  宇宙の晴れ上がり


ビッグバン理論の用語

宇宙が誕生した直後は

高温高圧で、プラズマが光の直進を妨げていた

このため不透明な世界であった


ビッグバンからおよそ38万年後

宇宙が膨張することによって温度が3000度まで下がると

バラバラだった電子と原子核が一斉に結合して中性化し

光が直進できるようになり、突如 世界は透明になった


これが宇宙の「晴れ上がり」

この時に放たれた光が

宇宙背景放射として観測されているという



つまり、宇宙が透明になったときの光が

宇宙の膨張によるドップラー効果によって波長が伸び

現在、観測されるのが宇宙マイクロ波背景放射ということです







宇宙の膨張



宇宙の膨張は

アメリカの天文学者

エドウィン・ハッブル(1889~1953)

によって発見されています



ハッブルが、様々な銀河のスペクトル

〔光を分光器に通して波長の違いに従って分解し

波長の違いの順に並べた色帯〕を調べてみると



ほとんど全ての銀河のスペクトルが

長い波長の方(赤に近い方)にずれていること (赤方偏移)

このずれは遠い銀河ほど大きいことを発見したといいます



    光(可視光線)は

波長が短くなると

青色に近くなり

長くなると

赤色に近くなる




そして「この現象は銀河を出た光が地球に届くまでの間に

宇宙空間が伸びて、波長が引き伸ばされて起きる

これは宇宙が膨張していることを示している」

と結論したといいます






●  ドップラー効果



ドップラー効果とは、音源(例えば、救急車)が

移動することによって音色が変わることです



下の左の図は、音源の移動がない場合を示していて


右の図が、音源(救急車)が→方向に

移動している場合の音波の伝わり方を示しています



中心にいくほど、最近、発せられた音ということになり

黒い中心点は、ごくごくさっき、発せられた音ということになります



 
 転 写




救急車の遠近づいていく地点にいる人は

波長(1個の波の長さ)が短くなっていき=

周波数(1秒間の波の数)が高くなっていく

(振動回数が多い) = 音が高く聞こえる



救急車の遠ざかっていく地点にいる人は

逆に、波長は次第に長くなっていき=

周波数が低くなっていく= 音が低く聞こえる


ということです




ドップラー効果は、観測者が移動することでも起こります

一番、知られている例が「踏切」で


電車が音源に近づくに従って、

電車の中の人にとって、踏切の音が高く聞こえ


電車が音源から遠ざかるに従って、

電車の中の人にとって、踏切の音が低く聞こえます






さらに、ドップラー効果は

発生源(音源・光源など)と観測者との相対的な速度によって

波の周波数が異なって観測される現象なので、光でも起こります



光(可視光線)は、波長が短くなると、青色に近くなり

長くなるとも赤色に近くなります



なので、近づいてくる光の波は圧縮されるので

青っぽく見え (青方偏移)


遠ざかる速さが速いほど赤っぽく見えます (赤方偏移)








宇宙の終わり



では、宇宙の終わりはどうなるの?

って話になりますよね


いくつか説があります



一番よく知られている「ビッグクランチ」は

いずれ宇宙は収縮に転じ、物質が圧縮されてゆき

温度もどんどん上昇し

最後には高密度・高温の原子よりも小さい点に戻る

というものです


そのあと再び新たなピックバンがおきて

次の宇宙が生成される


宇宙は、膨張と収縮を繰り返すという説もあり

現在の宇宙も最初の宇宙ではないとかいう話もあります



しかし、ビッグクランチは起こらずに

宇宙は永遠に膨張し続けるという考えもあり

こちらの方が現在では有力とされています





「ビッグリップ」は

宇宙は加速しながら膨張を続けていて


やがて強力な加速膨張によって

銀河から人間、さらには原子に至るまで

物理構造がバラバラになり、素粒子だけが残る


さらに素粒子は互いに遠ざかり

最終的には空間が引き裂かれて宇宙は終わる

というものです


しかし、これも起こらないという考えが強いようです





この他「コールド・デス」という説もあります


高温であった宇宙が膨張をつづけて

現在の温度になったのだから


膨張をつづけることで温度がどんどん低下し

やがて絶対零度に達し、全てが静止する

というものです


なお、絶対零度は、私たちの暮らしている室温より

たった300℃低いだけです




●   絶対零度


絶対温度0度。0K(ゼロケルビン)。摂氏にすると-273.15℃

温度は、物質の熱振動(原子の振動)をもとにして規定されているので

下限が存在し原子の振動が完全に止まった状態である


但し現在では、原子の振動が止まることはなく

エネルギーが最低の状態でも振動していると考えられている




現在の宇宙空間の温度は-270.4℃で

絶対零度-273.15℃にかなり近いといいます








宇宙の形宇宙に果て



宇宙の形ってどうなっているの? 宇宙に果てはあるの?


ビッグバン理論から

予測される我々の宇宙の形には3つあるようで




1つは、閉じた宇宙で


ボールのような形をしていて

真っ直ぐ進むと元の場所に戻ってきます

有限だけど果てがないわけです


注意点は、ボールの中が宇宙で

そこに銀河が存在するというのでなく


ボールの面が宇宙で

そこに銀河が点としてのっかっているということです


線が閉じて輪になり、面が閉じて球になるのと同じように

空間も閉じてしまう可能性を考えてイメージされた宇宙のようです



この宇宙では、十分多くの質量(物体・星々)が存在すれば

重力によって、膨張は最終的には止まり宇宙は収縮に向かい

ビッグクランチに至るとされ

質量が少なければ膨張を続けるとされます




1つは、開いた宇宙です


馬の鞍ような形をしいるそうです(左右と前後に開いている)

もとの位置に戻ってこないので、無限の空間が存在することになります

この宇宙は、永遠に膨張を続けるらしいです




あと1つは、平坦な宇宙で


ビニールシートのような形をしていて

しかも2次元でなく3次元なのです


行けども、行けども終わりがなく

決して同じ場所に戻ってくることはありません


無限の空間が存在することになります

ゆるやかに膨張をつづけるそうです



 閉じた宇宙、開いた宇宙

平坦な宇宙  転写 




宇宙の密度が高いと、その時空は閉じて

閉じた宇宙となる


逆に宇宙の密度が低いと、開いた宇宙になる

この宇宙では物質同士が離れすぎて銀河が形成されない


両者の中間の平坦な宇宙が

現在の宇宙であるというのが有力らしいです




NASAが、WMAP(ダブリューマップ)という

宇宙マイクロ波背景放射(ビッグバンのときに放たれた光)

の観測用の人工衛星が打ち上げて

観測(2001~10年)を行った結果、宇宙年齢は137億歳


宇宙は平坦で今後も膨張し続ける という結論を出しています




こうした、宇宙モデルは、一般相対性理論が基礎となっていて


一般相対性理論では、重力よって時空は曲がるとされ


その曲がり具合が「曲率」であり

宇宙全体の形はその曲率によって決まるというわけです








宇宙は閉じた系か? 開いた系か?




① 開いた系(開放系)

物質もエネルギー(熱)も交換できる



② 閉じた系(閉鎖系)

エネルギー(熱)は外界との交換できるが物質はできない

但し、孤立系の意味に用いることもある



③ 孤立系

物質もエネルギーも交換できない



④ 断熱系

外界と仕事(エネルギー)の出入りはあるが

物質と熱(熱エネルギー)の出入りがない




「系」とは、周囲と切り離して考えた部分空間をいいます

宇宙空間ばかりをいう言葉でなく、人間を部分空間ととらえ

「人間は開いた系である」といった表現もなされています




一見孤立したような「缶詰の中」でさえ

外から加熱すれば熱くなるから、孤立系ではありません

(缶詰めの中は、閉じた系です)



実際の物質の世界は、互いに関わり合って成立しているので

孤立系を目にすることはないのですが

魔法瓶なんかが擬似的な孤立系となるらしいです



完全な孤立系は宇宙全体にしかないそうです

もちろん宇宙が孤立系だったらです



ちなみに、神がいて

外部からなんらかの作用を与えている宇宙は

孤立系ではありません




宇宙はその全体でひとつの孤立系とも考えられていて

孤立系では、他の世界とのエネルギーの出入りがないので

エネルギー保存の法則が成り立ちます




地球も、太陽から熱を受け取り

これを宇宙に放出しているから開放系です



ただ、仮に宇宙が孤立系だとしたら

地球も宇宙の一部なのだから

宇宙の中の地球という観点からは

孤立系の一部と言えます


これは人間についても言えて

宇宙全体として、エネルギー保存の法則が成り立ちます






宇宙は膨張にともなって

どんどん温度が下っているという事実がありますが


宇宙が孤立系なら

いずれ、全てのエネルギーが均等に分布する状態

あらゆる場所で温度が等しくなる状態となるとされ


これが「宇宙の熱的死」と呼ばれています


「熱的死」という言葉とは正反対に


この状態は、宇宙全体が

絶対零度に近い温度になるときとされています





断熱系とは

外界と仕事(エネルギー)の出入りはあるが

物質と熱(熱エネルギー)の出入りがない

ということですが


宇宙が断熱系だとしたら、風船のような宇宙だといいます


空気などの気体の体積を押し縮める(圧縮していく)と

その仕事のエネルギーが熱に変わり、温度が上がります


逆に、むりに体積を引き伸ばせば、温度が下がります


これは気体の熱エネルギーが運動のエネルギーに変換され

外界に放出されて温度が下がるという意味なので


宇宙が断熱系だとしたら

外部から何かの力で引っ張られていることらしいです







宇宙の年齢



銀河の後退速度(地球から遠ざかっていく速度)と

ビッグバンの広がりのはしっこの位置がわかれば

宇宙の誕生日は分りますが


ビッグバンの広がりのはしっこは観測出来きません



しかし、ハッブルは

天体の遠ざかる速度は、距離に比例している=「ハッブルの法則」

ことに気づいたといいます



つまり、10倍遠い銀河は10倍のスピードで遠ざかるというようにです

地球から銀河までの距離と、後退速度は比例関係にあるわけです



そこで、ハッブル定数=

銀河の後退速度と距離のあいだの比例関係を表す比例定数

を使えば、およその宇宙の年齢が計算できるそうです


【 後退速度÷地球から天体までの距離=「ハッブル定数」】





ハッブルの法則が発表されて以来

ハッブル定数をいかに正確に求めるかが

天文学界の課題であったそうです



後退速度は、宇宙望遠鏡による画像を解析するようですが

(後退速度は、赤方偏移によって分かる)



ハッブル宇宙望遠鏡が登場する以前は


銀河までの距離と

後退速度の精度の高いデータが得られなかったため

正確なハッブル定数がなかなか定められなかったそうです


現在では、ハッブル定数は、かなり正確らしいです




 ハッブル宇宙望遠鏡  ウィキペディアより



【 ハッブル宇宙望遠鏡 ・・・・

アメリカ航空宇宙局(NASA)が

ヨーロッパ宇宙機関(ESA)協力の下、開発

両者が運用する宇宙望遠鏡


1990年にスペースシャトルによって打ち上げられ

高度約600kmを、約100分の周期で地球を周回


長さ13.1メートル、重さ11トンの筒型、主鏡の直径2.4メートル


設計寿命15年を大幅に超えた運用 】




また、宇宙の膨張速度はビッグバン以来

ほぼ変わらないと考えていたそうですが


のちに、宇宙は50億~70億年前から

膨張速度を加速させていたことも分っているので

こうしたことも計算に入れて、宇宙の年齢が、割り出されているようです




もう一つの方法としては

「宇宙マイクロ波背景放射」(ビッグバンの証拠)を構成する

物質やエネルギーなどの組成や密度を割り出し


そこから宇宙の膨張率を求めれば

宇宙の年齢をかなり正確に見積もることができるといいます








観測可能な宇宙



宇宙は、人間が観測可能な範囲の

さらに外側でも膨張を続けているといいます


あたり前ですが

観測可能な宇宙の先は、観測できないので

宇宙の大きさは、我々には分からないということです



観測可能な限界ラインは「宇宙の地平線」と呼ばれています




どうして観測に限界があるのか?


どんなに観測の技術が向上しても

観測できる天体は

後退速度(星が地球から遠ざかっていく速度)が

光速未満の領域に限られるということです


これをハッブル限界いいます



後退速度が光速を越える

つまり地球と銀河との距離が

光の速度を超えて広がっているなら


その銀河を発した光が

地球に届くことは、永遠にないということになるからだといいます




もし、宇宙が光の速さを超えて広がっているとしたら

宇宙の果ては、永遠に観測できないので誰にも分からない

ということです





それから、現在観測されている

最も遠い銀河は128億光年 (光年は時間でなく、距離の単位)

離れた場所にあるそうですが


この意味は、128億年前に発せられた星の光が

旅をして現在の地球にやってきたということです



ただ、今もその星が地球から

128億光年離れた場所にあるとか


当時 地球から128億光年かなたにあった

ということではないといいます


膨張する宇宙を

ある銀河から放たれた光が

128億光年の距離を進んで地球へと到達したということです





宇宙の年齢は、約138億年とされています


そこで138億年前の光が地球に届いたします


すると138億年前、地球と光を発した星までの距離は

4000万光年になるそうです



つまり、138億年前、4000万光年かなたにあった星から発せられた光が

膨張している宇宙を進み

138億光年の距離を進んで地球へと到達したということになるそうです



138億年前に、4000万光年先にあった天体は

138億年経った現在、470億光年かなたにあると考えられています








ビッグバン理論の問題点




ビッグバン宇宙論というのは

一般相対性理論=重力の理論 をもとにして

(電磁気力などを無視して) 考え出されたものです



しかし、問題点もあり

ご都合主義の産物を、次々と生み出してきました



例えば、宇宙の膨張をうまく説明するために

ダークエネルギー 【 反重力効果を持ち

宇宙を引き離す仮想的なエネルギー

宇宙に存在するエネルギーの半分以上を占めるとされる】

を登場しています




NASAが、WMAP(ダブリューマップ)という

宇宙マイクロ波背景放射(ビッグバンのときに放たれた光)

の観測用の人工衛星が打ち上げて

観測(2001~10年)を行った結果


宇宙の物質とエネルギーの組成は

ダークエネルギー73%、ダークマター23%

原子でできた通常の物質4%としています




欧州宇宙機関(ESA)が、2013年に発表した

プランクという宇宙背景放射を観測するための

人工衛星による観測(2009~13年)結果では


宇宙の物質とエネルギーの組成は

原子などの通常の物質が4.9%、ダークマターが26.8%

そして、ダークエネルギーが68.3%と算定されています



観測できないダークエネルギーが70%って (*´ω`*)





また、銀河の内側には多くの星が存在します

このため内側は、内側へ向かう引力が大きいのです

外側は星が少なく内側に向かう引力は小さいのです


すると、銀河の内側に存在する星には

大きな遠心力が働くので回転速度が速く

逆に外側の星は回転速度が遅いはずなのです



ところが、内側と外側の星の回転速度に

大きな差がないことが判りました


これについても、ビッグバン説ではお手上げなのです


そこで銀河の外側にも見えない

物質が大量にあるのではないかとされ

「暗黒物質」(ダークマター)の存在が言われ出したわけです




ダークマター(暗黒物質)とは、光っていないか

光を反射できないので観測できないとされている物質で

存在するとしたら微少な素粒子の可能性が大きいといいます


ダークエネルギーとは反対に

重力を持ち、物質を引きつけるとされます





観測事実から分かっていることは

我々が住むこの宇宙(3次元の宇宙)は

シャボン玉がいくつもくっついたような状態にあるということです



そして、シャボン玉の膜の部分に銀河が集中していて

中は空洞(ボイド)、つまり銀河がほとんど存在しないのです



銀河が存在しているシャボン玉の膜の部分を

「グレートウォール」(偉大な壁)


また、3億光年、7億光年、11億光年というところに

(光年は時間でなく、距離の単位)


銀河が規則的に分布していることから

「コスミック・フェンス」(宇宙のフェンスの意)といいます



また、こうした宇宙全体を「宇宙の大規模構造」とか

「宇宙の泡状構造」と呼びます




この「宇宙の大規模構造」を

ビッグバンではうまく説明できないのです


例えば、砂をぎっしりつめた爆弾が、爆発したら

砂は、四方八方まんべんなく散らばっていくはずですよね




これに対しては

宇宙背景放射探査機 COBE(コービー)によって

全天にわたって宇宙背景放射を観測し、地図を作成したところ


「宇宙の大規模構造」のもとになった温度のゆらぎ

〔絶対温度3度(-270℃)の平均の値に比べて

10万分の1℃程度のゆらぎ=違い〕 が発見できた

という話になってはいます




但し、このゆらぎだけでは

「宇宙の大規模構造」が説明できないようです



宇宙の誕生時に存在した量子のゆらぎが

インフレーションによって何十桁も増幅したとしても

このゆらぎだけでは宇宙の大規模構造はできないとされ


最近では、コールドダークマター(冷たいダークマター)

なんてものを登場させています



コールドダークマターとは

質量エネルギーが大きく

運動エネルギーが小さいダークマターだそうで


つまり、速度分散が非常に小さく(分散しにくく)


このコールドダークマターが最初に集まって

強い重力を形成し


そこに水素やヘリウムなどが集まって、銀河を形成してゆき

宇宙の大規模構造ができた なんてことになっています




このように重力しか考慮しない宇宙論(ビッグバン理論)では

多くのご都合主義的な仮説が必要なわけです


前述したように、銀河の速度については

中心に高速で回転するブラックホールがあるはずだとか

ダークマターが存在するだとか・・



これらの仮説を全て認めたとしても

ビッグバン理論では

渦巻き銀河がどのようにしてできたのかということについては

全く説明できないといいます



なので「プラズマ宇宙論」というのもあるわけです





なお、ビックバン宇宙論の最も重要な根拠は

遠方の星から発せられる

光のスペクトルが赤方偏移しているという事実だけで


そこから「宇宙空間は膨張している」という仮説を立て

つぎつぎに仮説理論を積み上げてきたといいます







プラズマ宇宙論



こうしたビッグバン理論に対して

第三の宇宙論といわれる「プラズマ宇宙論」がありますす


いずれビッグバンという科学の定説を覆すのではないかと

考えている人も多いようです



固体・液体・気体 を物質の3態といいますが

プラズマは気体でも液体でも固体でもないそうです


日本語では「電離ガス」「電離気体」というそうです


オーロラ、太陽、ネオンサイン、さらにローソクの炎なんかも

プラズマによる現象だといいます

宇宙の物質の99.9%がプラズマからできているそうです



プラズマとは?


原子核はプラス、電子はマイナスの電気を持ち、互いに引き合っている

ばらばらにならずに中性を保っている

しかし、高温になると電子が原子核をまわる軌道から飛び出す


ある物質を作っている原子がすべてこのような状態になると

電子を失った原子(イオン)の群れと、自由電子の群れに分かれる


こうして、プラスの電気を持ったイオンと

マイナスの電気を持った電子が混じり合ったガス体ができる


これがプラズマなんだそうです




プラズマ宇宙論の創始者 ハンネス・アルヴェーン

(1908~1995・スウェーデンの物理学者)が


科学理論というものは

「≪宇宙が無から誕生した≫というような仮説から出発してはいけない」

「宇宙理論は、我々が観測や実験で確かめた事実の延長線上に

打ち立てられなければならない」

と述べているように


プラズマ宇宙論は、実験による直接的な検証が可能だといいます



プラズマ宇宙論では、渦巻き銀河がどのようにしてできるのか

その過程も合理的に説明できるそうで

しかも観測事実も、プラズマ宇宙論を支持しているといいます



プラズマ宇宙論は、宇宙の物質の99%以上のプラズマに基づき

電磁気力に重きを置き、重力をも考慮に入れた宇宙論だといいます



暗黒に見える空間にも、密度は小さいがプラズマが存在している


太陽などの恒星はプラズマの塊であり

銀河はプラズマの渦であると言っても過言ではない


プラズマが満ちている宇宙空間では

当然、電磁気力が物理現象を規定しているという話です




プラズマ宇宙論によると


宇宙空間を流れる電流は、プラズマ・フィラメントを生じさせる


2つのプラズマ・フィラメントは絡み合うようにして合体し

巨大なしめ縄のようなプラズマ・フィラメントとなり


渦巻き構造の高エネルギーを生み出し

銀河の渦巻き構造を生じさせる



銀河から噴出するプラズマ・ジェットが

フィラメントとなって宇宙空間に広がる


こうして銀河が銀河を生み、さらに銀河団を作り

銀河団は超銀河団を形成し

遂には宇宙の大規模構造をも生み出したといいます



プラズマ宇宙論では

宇宙マイクロ波背景放射の観測事実をうまく説明できていない

とされますがいくつかの仮説があるようです







原子や分子の世界では

支配的なのは重力ではなく電磁気力です


マイナスの電子と

プラスの原子核内の陽子の間に働く電磁気力の引力が


重力が地球に太陽を周りを回らせているのと同じように

電子に原子核のまわりを回らせているとされます



〔 原子核の周囲を回っている電子は

同時に自転(スピン)もしているという


電子はマイナスの電気を持つので、電子が運動すれば当然

電流が流れ、磁界が生じる


原子核の周囲を回ることによって、発生する磁界は小さく

スピンによる磁界の1/1000程度だという


なので物質の磁気の一番の源は

電子のスピン運動にあると考えられている 〕





また、現代文明は、電気信号を用いて通信し

電気信号を用いて情報処理を行っています


これと同じように、人間の神経細胞(ニューロン)は

電気信号を用いて情報伝達を行っています


ニューロンは、感覚器官からの情報を

電気信号にかえて、脳に伝達する


脳は、それらの情報を処理し

次の行動を決定し電気信号の命令を出す


これがニューロンを通じて、筋肉に伝えられています





また、地球は巨大な磁石だといいます


地球のコア(核。外核と内核からなる)の外核は

大部分が液体の状態にあるといいます


外核(深さ2900~5100km)は、4000~6000℃の高温で

鉄を主成分にニッケルを多く含んだどろどろの液体金属からなる

とされます



これが、もっと高温の内核〔深さ5100~6400km

50000~6000℃。鉄やニッケルからなる固体

圧力が極めて高いため鉄が固体として存在していると見られている〕

によって加熱され


対流運動をします〔熱い味噌汁が回転するのと同じ〕



さらに、地球の自転に引きずられて、回転運動もします

これによって電流を生じ、磁場を発生させているというのが

「発電機理論」(ダイナモ理論)です



地球には北極にS極、南極にN極という

とても強い磁場があります


地球の表面で方位磁石が北を指すのはこのためです






● 磁気モーメント


原子の中で、マイナスの電子はスピンをしている →

原子の中に電流が流れる →

その結果、原子にまわりに非常に弱い磁場を作る


このときこの原子は磁気モーメントを持っているという


しかし、全ての原子が磁気モーメントを持っているわけではなく

むしろ持っている原子の方が少ないという


これは、電子のスピンが、左回りだったり右回りだったりするため

磁力が↑向き↓向きのペアとなって

相殺されて磁力が消滅してしまっているからだという



永久磁石の材料となる強磁性体と呼ばれる

鉄、ニッケル、コバルトなどの原子は

ペアにならずに余ったスピンがあるために磁力を持ち続ける


ならば、鉄はそのままで磁石であるはずなのに、磁石ではない



これは、鉄の原子は、磁力を持っているが

磁力の向きがバラバラで

磁力としてまとまった方向に向いていないからであり

全体として打ち消しあってしまっているからだという


そこで磁場をかけると磁力の向きが

磁場と同じ方向にそろい、磁化することができる



また、原子核も磁気モーメントを持っている

(プラスの陽子のスピンによる)が

電子の磁気モーメントに比べずっと弱い

このため磁石の磁場にはほとんど関係しない





プラズマ宇宙論で語られているように

宇宙も電磁気力により秩序立てられているとなると

ミクロの世界からマクロの宇宙に至る

全ての世界で、電磁気力が支配的に働いていると言えますよね








インフレーション理論



「インフレーション理論」というのも

当然、ビッグバン理論のご都合主義の産物の一つです



インフレーション理論は

東大名誉教授 佐藤勝彦(1945年~)

次いで、アメリカの物理学者 アラン・グース(1947~)

によって提唱された理論です



宇宙マイクロ波背景放射の発見によって

定常宇宙論を退け、定説化したビッグバン理論ですが

その後、ビッグバンにはいくつかの問題があることが指摘され


その解決策としてビッグバンの前に

「インフレーション」という膨張があったという話になったわけです




問題点とは、宇宙の始まりから同じペースで膨張していたとすれば

宇宙はもっと場所による違いが大きいはずだ

とか


誕生した宇宙の密度(質量)が大きいと

重力に負けて宇宙は収縮してしまうはずであり


密度が低いと宇宙は膨張できるが

物質がたいして存在しないスカスカな宇宙になるはずである


ビッグバン理論だけでは、恒星や銀河が生成され

しかも膨張をつづけていくための質量の値が得られない

とかいったものです




インフレーションは

宇宙創世の10のマイナス44乗秒後に始まって

10のマイナス33乗秒後に終了したとされます


1秒の1兆分の1をさらに1兆分の1にして

さらに10億分の1以下にした

とてつもなくわずかの時間に起きたそうです


この膨張で宇宙は火の玉のようになっていたといいます



インフレーション前の宇宙の大きさは

素粒子よりもはるかに小さかったのが


インフレーション直後のビッグバンの時には

直径1センチ以上になっていたといいます



この膨張の割合を譬えると、ウイルスが一瞬にして

銀河団以上の大きさになるほどだそうで


インフレーションとともに

宇宙に時間が流れ、空間が広がりはじめたといいます





現代物理学が考える宇宙論における「無」(=真空)とは

分子や原子などといった粒子は含まれていなくても

光、X線、γ線、マイクロ波、その他の放射線(宇宙線)が

豊富に含まれている空間なんだそうです



そして、この「真空」から電子と陽電子のペアが突然出現する

つまり物質が出現すると考えられています



インフレーション理論の「無」とは

物質はおろか物質を入れておく空間も時間もないが

エネルギーの高まった≪真空≫の状態だといいます



つまり、電子と陽電子(電子の反物質)が生まれては合体し対消滅する

これを繰り返すことでエネルギーがきわめて高い状態にあったということです



この状態により≪ゆらぎ≫が生じた


≪ゆらぎ≫からはごくごく小さな宇宙が生まれては消え

生まれては消えしていく


そして、そのひとつが何らかの原因で消えずに成長し

現在の宇宙になったいうような話です





宇宙が無から誕生したというのは具体的にはどのようなことか?


エネルギーの高まった真空を、海に譬えます


海にはつねに波が立っていますが、この真空の海にも

ゆらぎという波がつねに発生している


大半のゆらぎはかき消されてしまうそうです


しかしある確率で、ゆらぎが増幅され

やがて小さな玉として、真空の海から離れてゆく

これがミクロの宇宙だといいます



だからこの説では、宇宙はたくさん作られていて

ミクロの宇宙のなかで、インフレーションを起こしたものだけが

マクロの宇宙に成長していくということです



このインフレーション宇宙論は

一種の「多元宇宙論」(マルチバース)とも関係していて


さらにこんな話もなされます



今度は、大きな玉を想像します

これが成長し大きくなった宇宙です



この成長した宇宙がインフレーションを起こして火の玉になると

表面の所々からたくさんの小さな宇宙、子供宇宙が誕生し離れてゆく


子供宇宙は成長し、またインフレーションを起こし、孫宇宙を生む

孫宇宙は、ひ孫宇宙を生む・・・・



このように、ねずみ算式に宇宙は増えてゆく



だから、たくさんの宇宙が存在していて

我々の宇宙が、母宇宙なのか、子供宇宙なのか

孫宇宙なのかさえも判らない


といった話です





≪インフレーションとともに

この宇宙に、時間が流れ、空間が広がり始めた≫

という話ですが


無から、インフレ―ションのはじまる

0秒から10^-36秒までの時間は、どうなんだって話になりますよ(笑)



10^-36秒というのは

大統一理論との整合性をつけようとしたのかは

知らないですが・・・・





ちなみに、 宇宙の創成について調べてみると

2つの考え方があるようです



1つは

無から始まり (無という宇宙の誕生を0としている) ➝

インフレーション ➝

ビッグバン ➝ 宇宙の晴れ上がり




 転 写





もう一つは

ビッグバンから始まり (ビッグバンを0としている) ➝

プランク時代 ➝

大統一時代 ➝ インフレーション時代 ➝ 電弱時代  です




なお、2つの話は、別モノであるにも関わらず


なぜか、インフレーションはどちらも

10^-36から始まるとされ


終わりも、10^-34秒後とか

10^-34秒後とか、10^32秒とかいうことで、ほぼ一緒です




前者は、ビッグバンが起こる前に

原子より小さい点が「インフレーション」という

火の玉のようになる現象があったという話で

≪インフレーション理論≫と呼ばれるものです






後者は、大統一理論による宇宙創成論です


大統一論によると

4つの力はビックバン直後には一つに統一されていて


最初に重力が分離し、次に原子核を固めている強い力が分離し

最後に電磁力と弱い力が分離したと考えます   4つの力




ビッグバンを、宇宙の始まりとし


ビックバンのあと0秒から

約10^-44秒(プランク時間)の間を

「プランク時代」と呼びます


〔 プランク時間とは、光が光速で

空間の最小単位、距離の最小単位とされる

「プランク長」を進むまでにかかる時間 〕   プランク長と波長の関係






極めて高温高圧の世界で、この時代の終わりに

相転移(水が氷になるように、まったく新しい相へ移行する)が起り

重力が他の力から分れたとされます




このあとの時代が「大統一時代」です


大統一エネルギーが1015GeVであるとすれば

この温度は10^27K以上に相当し


3つの力(電磁力、強い相互作用、弱い相互作用)が

統一されていたといいます



【 GeV (ギガエレクトロンボルト・

ギガ電子ボルト)は、eVの10億倍

V(ボルト)が、電圧の単位であるのに対し

eV(電子ボルト)は、エネルギーの単位 】




この時代は、ビッグバンの約10^-36秒後

(10^-38秒後とも)に終わり


このとき、大統一理論の相転移が起り


強い相互作用(強い力)と

電弱相互作用(電磁気力と弱い力が統合されたもの)

が分れたとされます




このあと宇宙が急激に膨張する

「インフレーション時代」(10^-36から10^-32秒後)があり



つぎの「電弱時代」の終わりに

ワインバーグ・サラム理論(電弱統一理論)

の相転移が起り


ビッグバンの約10^-11秒後(10^-12秒後とも)に

電磁相互作用と弱い相互作用が分離したとされます




そして、ここまでの過程で

物質と反物質のつりあいに小さなズレが生じ


ほんのわずか物質の方が反物質より多くなったことで

現在の宇宙が、物質の世界として存在している

という話になっています
    自発的対称性の破れと反物質







デタラメな宇宙論



そもそもこうした宇宙論が、デタラメなのは

宇宙がビッグバンという爆発現象によってはじまり

膨張をつづけている

というならば


球体の宇宙しかありませんよ



但し、いわゆる閉じた宇宙とは違います


なぜなら、前述したように、閉じた宇宙というのは

球体の内部でなく、球体の表面からイメージした宇宙だからです



そんな宇宙が、原子より小さな点の爆発現象で

生まれるわけがありません(笑)




それから宇宙が138億年前に誕生し

原子よりも小さい点よりずっと膨張しつづけて


現在に至るならば

宇宙の果てがありそうですよね



但し、宇宙の端、果てが138憶光年先にある

というのはおかしいですよ


なぜなら空間の広がる速度 = 光の速度 ではないからです




現在観測されている

最も遠い銀河は128億光年 (光年は時間でなく、距離の単位)

離れた場所にあるそうですが


この意味は、128億年前に発せられた星の光が

旅をして現在の地球にやってきたということです



ただ、今もその星が地球から

128億光年離れた場所にあるとか


当時 地球から128億光年かなたにあった

ということではないといいます


膨張する宇宙を

ある銀河から放たれた光が

128億光年の距離を進んで地球へと到達したということです





宇宙の年齢は、約138億年とされています


そこで138億年前の光が地球に届いたします


すると138億年前、地球と光を発した星までの距離は

4000万光年になるそうです



つまり、138億年前、4000万光年かなたにあった星から発せられた光が

膨張している宇宙を進み

138億光年の距離を進んで地球へと到達したということになるそうです



138億年前に、4000万光年先にあった天体は

138億年経った現在、470億光年かなたにあると考えられています



ということは

仮にその天体の位置を宇宙の端とするならば

470億光年かなたに、宇宙に果てがある

という考え方はできるかとは思います




しかし、≪138億年前、4000万光年かなたにあった星から発せられた≫って

それでは、ビッグバンの前に宇宙があり

星もあったということになってしまいます(笑)






それからNASAによると

前述のように宇宙は、平坦なんだそうです


つまり、マットレスのような形らしい


こんなの原子の爆発現象でできますか?


できませんよね(笑)


しかし、以下のような理屈が立てられています




まず「平坦」は、三点を結んだときに

ちゃんと三角形(内角の和が180°の三角形)

になるかどうかで定義できます



 閉じた宇宙、開いた宇宙

平坦な宇宙  転写 



例えば、地球は、球体であって

表面は平坦ではないで、大陸規模の大きさの三角形を描くと

ちゃんとした三角形にはなりません


ところが、我々が地面に

三角形を描くとちゃんとした三角形になります


これは、描く場所がとてつもなく小さいからです



そこでこんな理屈が成り立ちます


【 宇宙というのは、とてつもなく広い


なので、宇宙が閉じていようが、開いていようが


観測される宇宙は、平坦となる 】



つまり、≪宇宙が実際にはどんな形であろうと

平坦な宇宙として観測されることになる≫わけです




しかし「宇宙が平坦である」という話は

宇宙の膨張速度=宇宙の物質の量なんかから

想定したのでしょうから


ビッグバン宇宙、138億年規模の宇宙の話のはずですよね(笑)


話のすり替えです





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